クレート・ハウストレーニングのメリットと教え方

前回クレートでお留守番するのは難易度としては中級というお話をしました。飼い主さんに聞くとあまり深く考えずに使っていてトレーニングなどもしていない人が多いんですよね。

ちゃんと利用すればとても便利な物なので、今回はクレートの役割やトレーニングする意味・手順・ポイントをお伝えしていきたいと思います。。

目次

クレートって意外に便利!

ご存知かと思いますが改めてクレートとは何か?からお話していきましょう。

画像のようなワンちゃんが入れるケースで、材質はプラスチックなどのハード系と布などで作られたソフト系があり、利用目的によって使い分けが必要な場合もあるのでどちらも用意しておくと良いでしょう。

通常は空気穴等が空いているので視界が完全に塞がることはありませんが、カバーがあると環境やワンちゃんの変化にすぐ対応できるので用意しておくことをおすすめします。

多くの物は取手がついていてワンちゃんが入ったまま持ち運びができるので一緒に外出することができるし、部屋に置いて寝床やくつろぎスペースとしても使えます。家でも外でもワンちゃんにとって落ち着ける場所なのがクレートになります。

クレートトレーニングのメリット

クレートに入ってもらうだけでトレーニングをする必要がないと考えている飼い主さんが多いんですが、何事もやらないよりやったほうがいいもの。それと普段の使い方の注意点もあるので覚えていて損はないです。

クレートトレーニングとは第一に「クレートを好きになってもらう」こと。第二に「合図を言ったらクレートに入ってもらう」ことになります。これは順番が大事で、好きになってもらってから合図をつけるのが正しい手順です。嫌いな場所やなんとも思わない場所は言われても入りたがらないのは当たり前なんですが、当たり前すぎるのか好きになってもらうことをおろそかにする飼い主さんがとても多いんです。

好きになってもらうためにすることはトレーニングと言うほどではなく、普段の生活で飼い主さんが頭に入れて対応していればいいことで難しいことはありません。加えて「やらないほうがいいこと」を知って注意していればクレートトレーニングの半分は終わっていると言ってもいいくらいです。

クレートを好きになってもらうメリットとして、クレート内なら安全で安心と理解して落ち着くようになることです。家でも外でも吠えたり騒いだりするのは恐怖心や不安からくることが多いので、クレートにいれば安全とわかっているワンちゃんならクレート内では騒ぎにくいというわけです。逆に好きすぎて騒いでしまう子ならカバーをつけて視界を遮れば騒ぐ可能性はかなり低くなります。視界を遮るのは怖がりな子も同様なのでカバーはおすすめで、タオルケットなどをかけるだけでも大丈夫です。

好きになってもらうだけで十分メリットはありますが、合図で入ってもらえればさらに便利になります。特に外出時に多いですが、大人しくしていてほしい時に合図で入ってもらえれば飼い主さんが困る場面はかなり減るはずです。

怖がりな子は言わなくても入っている可能性が高いので、これは興奮しやすい子の飼い主さんのほうが助かるんじゃないでしょうか。なにしろ私がヤンチャすぎるバッシュを落ち着かせるためにクレートトレーニングをしてずいぶん助かったものです。

ポイント

✅ クレート内は安全で安心で落ち着ける場所にする
✅ クレートを好きになってから合図をつけるのが正しい手順

クレートトレーニング

まずは好きになってもらうことですが、現状で普通に入ってくれるなら並行して合図をつけていってもかまいません。入ってほしい時に入ってもらえないようなら好きになってもらう努力を多めにするようにしましょう。

「やること」と「やってはいけない」こと

好きになってもらうためにオヤツを使います。ポイントは一つで「クレートに入っている時にオヤツをあげること」だけです。現在クレートが好きか嫌いかで手順は変わりますが、嫌いという前提で2つのステップで解説します。

嫌いから普通へ

クレート嫌いな子はオヤツを使って慣れさせる必要がります。例のごとく最初は難易度を低くしてチャレンジします。

理想は上下で分割できるタイプのクレートで上部を外した状態から始めます。上がないことで開放感があることとオヤツを使うことで入ってくれる可能性は高くなります。どうしても入らないようならオヤツをグレードアップするかクレートを変えてみてください。今のクレートにすごく嫌なイメージがあるならどうやっても入らない可能性もあるからです。

オヤツで誘導してかまわないので、クレートの前まで連れて行ったら中にオヤツを投げ入れます。回り込んで入らずに食べてしまうようなら手に持ったまま乗るように誘導してあげます。これは飼い主さんのテクニックでできるはずなので練習あるのみです。いつも使うマットなどを敷いてあげるのもいいですね。

現状ではクレート下部に前足だけでも乗って食べていればOKです。乗っている間は定期的にオヤツをあげ続けて、出てきたらあげないようにします。オヤツの間隔は慣れてきたら延ばしていきましょう。

足をすべて乗せて食べるくらい大丈夫になってきたら上部もつけて同じようにオヤツで慣らしていきます。嫌いだった子には刺激が強いのでまだ扉は閉めないでください。クレート内でフセしてオヤツを食べてくれるくらいまでいけばステップ1は終了です。

嫌な時や恐怖・危険を感じる時はフセをしにくいので、慣れてきた基準として覚えておくといいです。

普通から好きへ

ここからは扉を締めるためのトレーニングです。通常ならそれほど抵抗ないはずなので、トレーニングというよりクレートに入ってもらう時には必ずオヤツを使って入ってもらうようにして、時間がある時に1日数回やってみるくらいで大丈夫だと思います。すんなり入ってくれるようであれば次は合図をつけていきましょう。

ひとつだけ注意点で、これをやるとオヤツがほしい時に勝手にクレートに入って要求することがあります。その時はただただ無視してオヤツをあげなければ大丈夫です。「ダメ」などの合図を言ってあげてもいいでしょう。

やってはいけないこと

本来ワンちゃんは狭くて暗いところを好むと言われています。ではクレート嫌いな子はなんで嫌いになったのでしょう?

それはクレートに入っている時にとても嫌なことがあったか、嫌なことと関連して学習したからなんです。よくある例でいえば

🔸 いたずらなどを叱ったあとクレートに閉じ込めた
🔸
クレートに入って外出すると高い確率で嫌な場所(病院など)に行く

などが多いですね。他には偶然カミナリや地震などで恐怖を感じたりトラウマがある可能性もあります。単純に飼い主さんと離れるのが嫌などあるかもしれませんが、その場合はクレートが嫌いと言うより外の方が好きという感じなので入らないということは考えにくいです。ビビリな子はクレートを嫌うこともありますが、それはクレートではなく社会化でビビリを治すことを考えるべきです

偶発的なこと以外は飼い主さんが気をつければなんとかなることばかり。病院に行くのにクレートを使わないということではなく、クレートに関する嫌なことよりももっと多くの良い体験があればいいんです。

そのために「クレートに入ってもらうときには必ずオヤツをあげる」というのを、1日2回やったとして月に60回。1ヶ月に1回病院に行ったとしても60回の良い経験が1回の嫌な経験でクレート嫌いにならないはずです。

それ以外でも罰や嫌な経験をさせた直後にクレートに入れると関連付けてしまうのでやらないようにしましょう。嫌な経験を少なくし、良い経験を多くするだけでクレートを嫌いになることはないし、嫌いな子も徐々に好きになっていきます。

ポイント

✅ 嫌い ⏩ 普通 ⏩ 好きと手順を踏んでステップアップする
✅ とにかくクレートで良い経験を多くさせる

合図をつける

実は合図をつけるのは特別なことをしなくてもつけられます。クレートに入ってもらうためにオヤツを投げ入れる時「クレート」など合図を言ってから投げると「クレートって言うとオヤツを投げる(クレートにオヤツがある)」と学習します。

続けていくと合図を言うと投げなくてもクレートにオヤツを食べに(探しに)行くようになります。最初は頭を入れるだけかもしれませんが、うまく誘導するかクレート内でフセをするのを待ってからあげると
「クレートの合図クレート内でフセオヤツ」
となり、合図でクレートに入ってフセをするようになるという手順です。

つまり「クレートに慣れさせる・好きにさせる」と「合図をつける」は同時にできるということです。トリックなど特別なことをする行動ははトレーニングとして教え合図をつける必要がありますが、普段の行動につけるには毎回「合図 ⏩ 行動(誘導)」を徹底すれば覚えてくれます。

ただ、クレート嫌いな子は気が散るかもしれないので、普通くらいになるまでは合図なしで嫌いを克服することだけに集中してください。

参考までにバッシュが合図でクレートに入る動画をご覧ください。

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クレートの合図で首をかしげながらもちゃんと入ってくれてOKの合図で出てきます。これは時間を伸ばすトレーニングまでやった完成形です。OKは「自由にしていいよ」の合図で「出て」の合図ではないのでクレートに入ったままでもいいわけです。出したいなら私の場合「オイデ」と言うのが正解です。OKは勘違いしやすいポイントなので気をつけましょう。

応用としてワンちゃん用のキャリーバック版もあるのでどうぞ。

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クレートと違って入りにくいので足がはみ出てしまった。。。もう一度「カバン」と言ったら一生懸命足を入れてくれました。かわいいですねぇ~♪(親バカ)

応用すればといろいろな実用性のあることが教えられます、たとえば「マットの上でフセ」を教えると、動物病院などで大人しくしていてほしい時に椅子の下など居てほしいところにマットを敷いて合図を言うとそこでフセをしていてくれます。

誘惑や刺激が多いところでできるように教えるには上級テクニックが必要ですが可能です。まずは今回お伝えしたクレートトレーニングから始めて、しつけに慣れてきたらご自身に合ったあると便利だと思うことを教えてみてください♪

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