犬のガンとは?うちの子は大丈夫?

(2026年9月更新)最新のスクリーニング検査や治療の選択肢、受診の目安を追記しました。
ガンと診断される…これは対象が自分であっても、愛する家族であっても、ほとんどの人は動揺するでしょう。医療の発達によって、愛犬の平均寿命は延び、一緒に過ごせる時間が長くなりました。しかしその一方で、ガンや心臓病、認知症などの病気が増えています。そして私たち人間同様に、犬の死因1位はガンだと言われるほど、珍しくはない病気なのです。ガンはある日突然、塊ができるのではありません。普通の細胞から発生した異常な細胞が増殖していくのは、人間も犬も同じ。早期発見、早期治療が大切なのも同じです。
愛犬はどこか調子が悪くても、言葉で伝えることができません。ガン以外にも恐ろしい病気はたくさんあります。
私たち飼い主が、普段から愛犬の様子を観察し、何か変わったことがあればすぐに気付けるようにしておきましょう。

目次

体調の変化

体調の変化に気づくことは、あらゆる病気の早期発見には欠かせません。まずは次のような症状がないか確認してください。

  1. 食欲不振
  2. 元気がない
  3. 体重の減少
  4. 下痢
  5. 嘔吐
  6. 微熱

ガンの初期症状として、上記のような体調不良が見られますが、他の病気でも現れますので、まずは動物病院で適切な処置をしてもらいましょう。これに加え、下記のような症状がないかもチェックしてください。

  1. しこりがある
  2. 皮膚の炎症・脱毛
  3. 停留睾丸が大きくなっている
  4. 肛門や膣からの分泌物
  5. 血尿や排尿障害
  6. 歩行障害・ふらつき
  7. 苦しそうな呼吸・咳・くしゃみ
  8. リンパ節の腫れ

しこり、皮膚の炎症や脱毛がある
体の表面の分かりやすい場所に、しこりができることがあります。しこりには良性と悪性があり、悪性のしこりの代表である悪性腫瘍の一部が、ガンと呼ばれます。つまり、しこり=ガンとは限りませんので、まずは落ち着いて、なるべく早く獣医さんの診察を受けてください。
他にも炎症を起こして毛が抜けていたり、変色していたり、皮膚に異常がないかも観察してください。日ごろのスキンシップはもちろんのこと、トリミングの際にはトリマーさんに、少しでも気になるところがあれば、教えてもらえるようお願いしておくとよいですね。女の子の場合は、乳腺も忘れずにチェックしてください。

停留睾丸が大きくなっている
男の子で停留睾丸がある場合は要注意です。停留睾丸とは2つある精巣が1つあるいは両方とも、鼠径部やお腹の中に停留しているもので、それ自体に痛みなどはありませんが、そのままにしておけば将来、腫瘍化する可能性があります。精巣が鼠径部まで下りていれば、足の付け根あたりに触ることができるので、大きくなっていないか日々チェックをしましょう。お腹の中に停留している場合は、外からの発見は困難です。停留睾丸が腫瘍化するのは、老犬になってからの場合が多いため、若くて体力のあるうちに手術をするという考え方もあります。必ず腫瘍化するわけでもなく、手術にもリスクは伴いますので、獣医さんとよく相談して決めてください。

異常な分泌物、下痢、血尿、嘔吐などの症状がある
子宮、卵巣、大腸、胃など人間と同じくガンが発生します。食べにくそうにしている場合や、口臭がきつくなってきた場合は、口の中もチェックしてください。可能なら血尿や血便、嘔吐したものを、診察時に持参するとよいでしょう。

歩行障害、ふらつきがある
歩きにくそうにしている場合は骨髄腫、骨肉腫、脳腫瘍などが考えられる他、貧血が原因でふらついている場合もあります。

苦しそうな呼吸や咳、くしゃみをしている
長引く咳は、肺や胸腔内の異常が考えられます。鼻の中にガンができる場合もあるので、鼻水が出ていたらティッシュでやさしく拭い、もし鼻血が付いていたら、すぐに病院で検査をしてもらいましょう。

リンパ節が腫れている
リンパ腫や、ガンがリンパ節に転移した時には腫れることがあります。普段からリンパ節(あごの下、脇の下、足の付け根など)を触って通常の状態を把握し、少しでも早く腫れに気づくことができるようにしておきましょう。

まとめ
犬のガンも人間と同じように、皮膚、骨、内臓、血液など、さまざまな部分で発生しますが、犬のガンの早期発見は難しく、進行も早いと言われています。定期的な健康診断はもちろんのこと、普段のスキンシップやブラッシングなどを通して、しこりがないか、痛がる場所はないか、熱っぽくないかをチェックし、加えて尿や便もよく観察しましょう。毎日チェックしていれば、わずかな体調の変化にも気づきやすくなり、ガンはもちろん、あらゆる病気の早期発見につながります。

【2026年版】犬のガンは「早期発見」がカギ|いま受けられる検査

犬のガンは10歳以上の犬のおよそ半数が経験するとも言われ、シニア期にはとても身近な病気です。さらに犬のガンは人よりも進行が速い傾向があるとされ、「気づいたときには大きくなっていた」というケースも少なくありません。だからこそ、症状が出る前に見つけるスクリーニング(ふるい分け)の考え方が広がっています。

血液によるガンのスクリーニング検査
近年は、少量の採血でガンのリスクを調べる検査を導入する動物病院が増えました。代表的なものに、血液中のヌクレオソーム量を測定する「Nu.Q® Vet Cancer Test」などがあります。毎年の健康診断やフィラリア検査の採血に合わせて実施できるため、愛犬への負担がほとんどないのが利点です。

尿を使ったリスク検査
自宅で採った尿を郵送して、ガンのリスク傾向を調べるサービスもあります。通院せずに試せる手軽さがある一方、こちらも「リスクの目安」を知るための検査です。

画像検査・細胞診・病理検査
レントゲン、超音波(エコー)、CT/MRIなどの画像検査で腫瘍の場所や広がりを確認し、最終的には細い針で細胞を採る細胞診や、組織を採って調べる病理検査で診断を確定します。

⚠️ 注意:血液や尿のスクリーニング検査は「ガンの確定診断」ではありません。結果が陰性でもガンが否定されるわけではなく、陽性でも必ずガンとは限りません。従来の健康診断や触診の代わりにはならず、あくまで補完と考え、気になる結果が出たら追加検査について獣医師とよく相談してください。

【2026年版】治療の選択肢は少しずつ広がっている

犬のガン治療の柱は、いまも外科手術・放射線治療・抗ガン剤(化学療法)の3つです。そこに近年、次のような選択肢が加わっています。

  • 分子標的薬/ガン細胞に多い特定の分子にねらいを定めて働く飲み薬です。犬用として承認されているトセラニブ(製品名パラディア®)は、肥満細胞腫のほか、肛門嚢アポクリン腺癌や一部の鼻腔内腫瘍などでも使われています。
  • 膀胱・尿道の移行上皮癌に対する併用療法/東京大学などの獣医師主導臨床試験では、分子標的薬ラパチニブと従来薬ピロキシカムの併用で、半数を超える犬で腫瘍の縮小がみられ、生存期間が延びたと報告されています。
  • 緩和ケア・疼痛管理/完治を目指さない場合でも、痛みや吐き気をやわらげて「その子らしく過ごす時間」を守る治療が重視されるようになりました。

どの治療が向くかは、腫瘍の種類・進行度(ステージ)・年齢・持病・ご家庭の通院事情によって大きく変わります。診断がついたら治療方針を急いで決めず、費用や通院回数、予想される副作用まで含めて確認しましょう。腫瘍を専門に診ている動物病院や、日本獣医がん学会の認定医にセカンドオピニオンを求めるのも有効です。

費用は検査と治療内容によって幅が大きく、検査だけでも数万円、手術や継続的な抗ガン剤治療では数十万円規模になることもあります。ペット保険を検討している場合は、ガンが補償対象か・待期期間や既往症の扱いはどうかを加入前に必ず確認してください。

リスクを下げるために今日からできること

  • 避妊・去勢手術を獣医師と検討する/乳腺腫瘍は女性ホルモンの影響を受けるため、早い時期(初回発情前~2歳頃まで)の避妊手術で発生リスクが大きく下がると報告されています。男の子では、記事本文でも触れた停留睾丸の腫瘍化予防になります。ただし手術にもリスクや体質への影響があるため、時期と可否は必ず主治医と相談してください。
  • 太らせない/肥満は炎症やホルモンバランスを通じて、さまざまな病気のリスクを上げます。
  • 受動喫煙・強い紫外線を避ける/室内での喫煙は避け、白い被毛や毛の薄い子は夏の長時間の日光浴に注意を。
  • 健康診断を習慣にする/若い成犬は年1回、7歳を過ぎたら半年に1回が目安。血液検査に加えて、レントゲンやエコーまで含めた健診を受けておくと変化に気づきやすくなります。
  • 毎日のスキンシップを「検診」に変える/ブラッシングやマッサージのついでに、あご下・脇の下・足の付け根のリンパ節、乳腺、口の中を触る習慣をつけましょう。しこりを見つけたら、大きさ・場所・日付をスマホで撮影して記録しておくと、診察時に「大きくなっているか」を伝えられます。

すぐに動物病院へ相談したいサイン

  • しこりが数週間で明らかに大きくなっている/急に硬くなった・崩れて出血している
  • 食欲不振や体重減少が2週間以上続いている
  • 咳や呼吸が苦しそうな状態が続く、鼻血が出る
  • 血尿・血便、おしっこが出にくい
  • 立てない、ふらつく、片足をかばって歩く
  • 口が臭う・食べこぼす・よだれに血が混じる

迷ったときは「様子を見る」より先に、まず電話で動物病院に相談してください。早い受診が選べる治療の幅を広げます。

よくある質問(FAQ)

Q. 犬のガンは何歳ごろから気をつければいいですか?

A. 発生は中高齢から増え、10歳以上の犬の約半数が経験するとも言われます。ただしリンパ腫や骨肉腫など若い犬で見つかるガンもあるため、年齢に関係なく「しこり」や体重減少には注意し、7歳を過ぎたら半年に1回の健康診断を目安にしましょう。

Q. しこりがあったら必ずガンですか?

A. いいえ。脂肪腫やイボ、膿の塊などガン以外の原因も多くあります。ただし見た目や触った感触だけで良性・悪性は判断できません。細胞診などの検査で確認してもらいましょう。

Q. 血液検査だけでガンはわかりますか?

A. 血液のスクリーニング検査は「リスクを知る」ための検査で、確定診断ではありません。陰性でもガンを否定できず、陽性でも確定ではないため、画像検査や細胞診・病理検査と組み合わせて判断します。

Q. 避妊手術をするとガンの予防になりますか?

A. 乳腺腫瘍については、早い時期の避妊手術で発生リスクが大きく下がることが知られています。一方で手術そのもののリスクや、体型・体質への影響もあります。時期や実施の可否は主治医と相談して決めてください。

Q. 高齢だから治療は諦めたほうがいいでしょうか?

A. 年齢だけで判断する必要はありません。体への負担が少ない飲み薬(分子標的薬)や、痛みをやわらげる緩和ケアなど、「治す」以外のゴールを選べる時代になっています。ご家族の通院事情も含めて、獣医師に率直に相談しましょう。

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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を目的とするものではありません。愛犬の症状や治療方針については、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。掲載内容は2026年9月時点の情報です。


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