ガンと診断される…これは対象が自分であっても、愛する家族であっても、ほとんどの人は動揺するでしょう。医療の発達によって、愛犬の平均寿命は延び、一緒に過ごせる時間が長くなりました。しかしその一方で、ガンや心臓病、認知症などの病気が増えています。そして私たち人間同様に、犬の死因1位はガンだと言われるほど、珍しくはない病気なのです。ガンはある日突然、塊ができるのではありません。普通の細胞から発生した異常な細胞が増殖していくのは、人間も犬も同じ。早期発見、早期治療が大切なのも同じです。
愛犬はどこか調子が悪くても、言葉で伝えることができません。ガン以外にも恐ろしい病気はたくさんあります。
私たち飼い主が、普段から愛犬の様子を観察し、何か変わったことがあればすぐに気付けるようにしておきましょう。
体調の変化
体調の変化に気づくことは、あらゆる病気の早期発見には欠かせません。まずは次のような症状がないか確認してください。
- 食欲不振
- 元気がない
- 体重の減少
- 下痢
- 嘔吐
- 微熱
ガンの初期症状として、上記のような体調不良が見られますが、他の病気でも現れますので、まずは動物病院で適切な処置をしてもらいましょう。これに加え、下記のような症状がないかもチェックしてください。
- しこりがある
- 皮膚の炎症・脱毛
- 停留睾丸が大きくなっている
- 肛門や膣からの分泌物
- 血尿や排尿障害
- 歩行障害・ふらつき
- 苦しそうな呼吸・咳・くしゃみ
- リンパ節の腫れ
しこり、皮膚の炎症や脱毛がある
体の表面の分かりやすい場所に、しこりができることがあります。しこりには良性と悪性があり、悪性のしこりの代表である悪性腫瘍の一部が、ガンと呼ばれます。つまり、しこり=ガンとは限りませんので、まずは落ち着いて、なるべく早く獣医さんの診察を受けてください。
他にも炎症を起こして毛が抜けていたり、変色していたり、皮膚に異常がないかも観察してください。日ごろのスキンシップはもちろんのこと、トリミングの際にはトリマーさんに、少しでも気になるところがあれば、教えてもらえるようお願いしておくとよいですね。女の子の場合は、乳腺も忘れずにチェックしてください。
停留睾丸が大きくなっている
男の子で停留睾丸がある場合は要注意です。停留睾丸とは2つある精巣が1つあるいは両方とも、鼠径部やお腹の中に停留しているもので、それ自体に痛みなどはありませんが、そのままにしておけば将来、腫瘍化する可能性があります。精巣が鼠径部まで下りていれば、足の付け根あたりに触ることができるので、大きくなっていないか日々チェックをしましょう。お腹の中に停留している場合は、外からの発見は困難です。停留睾丸が腫瘍化するのは、老犬になってからの場合が多いため、若くて体力のあるうちに手術をするという考え方もあります。必ず腫瘍化するわけでもなく、手術にもリスクは伴いますので、獣医さんとよく相談して決めてください。
異常な分泌物、下痢、血尿、嘔吐などの症状がある
子宮、卵巣、大腸、胃など人間と同じくガンが発生します。食べにくそうにしている場合や、口臭がきつくなってきた場合は、口の中もチェックしてください。可能なら血尿や血便、嘔吐したものを、診察時に持参するとよいでしょう。
歩行障害、ふらつきがある
歩きにくそうにしている場合は骨髄腫、骨肉腫、脳腫瘍などが考えられる他、貧血が原因でふらついている場合もあります。
苦しそうな呼吸や咳、くしゃみをしている
長引く咳は、肺や胸腔内の異常が考えられます。鼻の中にガンができる場合もあるので、鼻水が出ていたらティッシュでやさしく拭い、もし鼻血が付いていたら、すぐに病院で検査をしてもらいましょう。
リンパ節が腫れている
リンパ腫や、ガンがリンパ節に転移した時には腫れることがあります。普段からリンパ節(あごの下、脇の下、足の付け根など)を触って通常の状態を把握し、少しでも早く腫れに気づくことができるようにしておきましょう。
まとめ
犬のガンも人間と同じように、皮膚、骨、内臓、血液など、さまざまな部分で発生しますが、犬のガンの早期発見は難しく、進行も早いと言われています。定期的な健康診断はもちろんのこと、普段のスキンシップやブラッシングなどを通して、しこりがないか、痛がる場所はないか、熱っぽくないかをチェックし、加えて尿や便もよく観察しましょう。毎日チェックしていれば、わずかな体調の変化にも気づきやすくなり、ガンはもちろん、あらゆる病気の早期発見につながります。