愛犬が口を開けて、ハアハアと呼吸をしている場面にはよく遭遇すると思います。普段なら暑いのかな?と特に気にならないのではないでしょうか。実はこの口呼吸、哺乳類の中でも人間にしかできないというのです。
多くの哺乳類は食べ物が通る道と、空気が通る道が分かれているため、食べ物は口から、空気は鼻から入れることしかできません。しかし人間は進化の過程で口と鼻がつながって、どちらからも呼吸ができるようになりました。通常であれば鼻呼吸をしている犬が、口を開けて呼吸をしているとは一体どういうことなのでしょうか?
犬が口を開けて呼吸をする理由
愛犬が口を開けて呼吸をするのは、以下の理由が考えられます。
- リラックスしている・喜んでいる
- 体温を下げている
- ストレスを感じている
- 呼吸器官の異常
- 逆くしゃみ
- 心臓や肺の異常
リラックスしている
犬はリラックスすると、口角が上がり、口元が緩んで少し開けていることがあります。また、嬉しい時や楽しい時など、目を細め、口を開けて笑っているような表情を見せたり、飼い主さんの笑顔を、まねしていたりする子もいるそうですよ。
体温を下げている
犬が大きく口を開けて、ハアハアと口呼吸をしていることを、パンティングと言います。犬は汗腺が少ないため、人間のように汗をかいて体温を下げることができません。そのため鼻から吸った息を口から出し、口内の水分を蒸発させることによって体温を調節しており、体温が下がれば自然に治まります。
だたし口呼吸が治まらない、苦しそうにしている、ぐったりしているなどの様子が見られた場合は、熱中症を起こしている可能性があり、非常に危険です。応急処置として、まず水を飲ませて、首筋、脇の下、足の付け根などを冷やしてください。その際、保冷剤を直接当てるのではなくタオルなどで包み、水をかける場合でも、氷水ではなく水道水にしましょう。熱中症は早急に処置をしなければ、命にかかわります。少しでもおかしいと感じたら、すぐに応急処置をして、保冷剤などで体を冷やしながら、動物病院に連れていってあげてください。
熱中症の予防策
犬には被毛があり、汗で体温を下げることも、ほとんどできないため、人間以上に暑さを感じていることでしょう。真夏の砂浜やプールサイドなどで足の裏が熱かった思い出はありませんか?アスファルトの場合、直射日光によって60℃になるとも言われています。真夏でなくても熱中症や、肉球の火傷を引き起こす恐れがあるので、お散歩はアスファルトを触ってみて、熱いと感じない時間帯を選んでください。そしてお散歩中や、その後の体調にも気を配りましょう。念のため、水を携帯するのも良いかもしれませんね。特に被毛が厚い犬種、短頭種、肥満の犬、老犬、子犬は注意が必要です。
ストレス
興奮、恐怖、緊張、不安、痛みなどのストレスを感じている場合は、呼吸が荒くなります。震えたり、尻尾を丸めたりすることもありますが、ストレスが取り除かれれば治まってきます。大きな音がした、痛い所があるなど、何が原因となっているのかを探してみてください。
呼吸器官の異常
空気を取り入れる鼻から肺までの呼吸器官に炎症があると、口を開けて呼吸をする、呼吸が早い、咳が出るなどの症状が見られます。主に咽頭炎・気管炎・気管支炎などで、原因はウイルス、細菌、寄生虫の感染症の他、誤飲などの外傷が考えられますので、動物病院で検査を受け適切な処置をしてください。
犬の気管虚脱は、空気の通り道がつぶれて、呼吸がしづらくなり、重症化すると呼吸困難を引き起こします。肥満や加齢、短頭種や小型犬に多いと言われ、ガーガーといった音がする苦しそうな呼吸が特徴です。
逆くしゃみ
気管虚脱と似たような症状に逆くしゃみがあります。これは鼻と口から、同時に空気を吸い込んでしまうことで起こる生理現象で、心配はありません。症状は数秒で治まり、後は何事もなかったかのようにケロッとしています。
症状が長く続く場合や、舌が出ている、舌が紫色になっている、症状が治まった後に元気がない、などの症状があれば気管虚脱の可能性がありますので、獣医さんに相談しましょう。
心臓や肺の病気
心臓や肺の病気はさまざまですが、息があらくなったり、呼吸困難の症状が見られます。安静にしているのに、口で呼吸をしている、呼吸が早いなどの症状がある場合は、すぐに動物病院を受診してください。
まとめ
犬が口を開けてハアハアしているのは、普通の光景のように感じますが、中には危険なものもありました。特に熱中症は、家を出るまでは元気だった愛犬が、散歩中に重篤な状態になることも・・・。しかしこれは防げるものです。いつもより呼吸数が多い、元気がないなどの変化に気づくことができるよう、日ごろからよく観察をするようにしましょう。