犬も人間と同じようにため息をつくことがあります。犬にも感情があるので、気持ちの変化などさまざまな理由によってため息をつく事があるのです。また、心理的なものだけでなく、病気が原因でため息をつくケースもあるので、このような場合は注意が必要です。
今回は犬のため息の理由や心理、対処方法、病気の可能性がある注意すべきため息などについてご紹介いたします。愛犬のため息が気になる時の参考にして下さい。
犬がため息をする理由は?仕草にも注目!
犬が「フッ」とため息をつく場合、その多くは心理的なものが理由にあります。その心理はさまざまで、嬉しい時もあればガッカリしてため息をつくケースもあります。愛犬がため息をついた時は、その仕草にも注目して見てみると気持ちが把握しやすくなりますよ。
ここでは犬のため息と仕草から分かる気持ちについてご紹介します。
犬がリラックスしている時のため息と仕草
大好きな飼い主さんにくっついて休んでいる時や自分のベットで横になっている時など、リラックスした時にため息をつく事があります。
この時のため息はポジティブな状態なので、表情が穏やかで筋肉が弛緩し、尻尾も緩んでだらんとしています。
犬が満足して嬉しい時のため息と仕草
たくさん遊んだ後や餌を食べて満足した時などにため息が出る時があります。このため息も気持ちがポジティブな時のため息なので、体や尻尾が緩んでいる状態が見られます。
犬がストレスや不満を感じている時のため息と仕草
散歩に行けると思ったのに行けなかった時やおやつをもらえなかった時など、何かにガッカリして諦めた時や不満を覚えた時に、気持ちを切り替えるためにため息をつく事があります。
この時のため息はネガティブなもので、筋肉がこわばり緊張している状態が見られます。また、尻尾や足を噛んだり、尻尾を追いかけ回したりといった仕草が見られることもあります。
このような場合にはストレスがかかっている状態なので、なるべくストレスを解消してあげるようにすると良いですね。
学習によるため息
以前ため息をついた時に何か欲求が満たされた事があり、それを学習してわざとため息をする時があります。
例えば、構って欲しいときにため息をついたら飼い主さんが構ってくれた、おやつをくれたなど、ため息をついたタイミングで飼い主さんが欲求を満たしてくれた経験があると、犬はそれを覚えて要求の一環としてため息をするようになります。
以上のように、犬がため息をする理由にはポジティブな心理状態からネガティブなものまで様々です。ため息をついた時の仕草や状態も併せて観察する事で、より愛犬の心理状態が把握しやすくなります。
犬のため息は病気の可能性がある?注意すべきため息とは
犬がため息をつく理由の多くは、心理的なものが原因にあります。しかし、中には病気が原因でため息をつくケースがあるので注意が必要です。
病気が原因のため息かどうか判断する基準の一つが「ため息の回数」です。頻繁にため息をする場合には息苦しさや吐き気によってため息が出ている可能性があります。
頻繁にため息をする原因として考えられる病気には次のようなものがあります。
鼻腔狭窄症(びくうきょうさくしょう)
頻繁にため息をつき呼吸が苦しそうで鼻水も出ている場合、鼻腔が狭くなっている「鼻腔狭窄症」という症状の可能性があります。
鼻腔狭窄症はパグやフレンチブルドックなどの短頭種に発生しやすい先天性疾患です。
呼吸がしづらいために熱中症にかかるリスクが上がったり、気道が塞がる病気を発症する可能性があります。
予防的に鼻の穴を広げる手術を行う場合もあるので、一度獣医師に相談してみると良いでしょう。
気管支狭窄(きかんきょうさくしょう)
気管支に炎症が起きたり、気管支に餌やおもちゃなどの異物が詰まった時などに発症します。
息苦しさからため息のような呼吸が頻繁に見られます。
炎症が原因であれば抗生物質などの薬で治療し、異物が詰まっている場合は内視鏡で除去するといった処置を行います。
呼吸器や心臓の病気
気管支炎や肺炎といった呼吸器系の疾患や、僧帽弁閉鎖不全などの心疾患が発症すると、息苦しさからため息の回数が多くなります。
呼吸が不規則になっていたり咳が出たりしている場合はこれらの病気の可能性があるので、早めに病院へ連れて行きましょう。
ため息をしやすい犬種は?
シーズーやパグ、フレンチブルドック、ボストンテリアなど、マズルが短い短頭種はため息をつきやすい犬種です。
短頭種は生まれつき鼻腔が狭かったり、軟口蓋過長症という、喉の奥の組織が伸びて気道を塞いでしまう病気が発症しやすい犬種なため、呼吸がしづらくなりため息が多くなる傾向にあります。
ため息のほかにイビキがあったり、あまり動きたがらないという場合は、上記の症状によって呼吸が苦しくなっている可能性があるので、一度病院で相談してみて下さい。
犬のため息の対処方法
犬がため息をつく理由の多くは心理的なものが関係しています。ポジティブな気持ちのため息なら問題ありませんが、ストレスや不安といったネガティブな感情からくるため息の場合は何らかの対処が必要です。
あまり散歩に行けずに運動不足だったり、飼い主さんが忙しくて構ってもらえないなどのストレスが原因の場合には、十分に散歩させてあげたり愛犬と過ごす時間をしっかり取ってあげて、ストレスを解消してあげるようにしましょう。
ストレスが溜まった状態が続くと胃腸の調子が乱れて消化不良を起こしたり、攻撃行動や自傷行動、おしっこの失敗などの問題行動に繋がるので、早めにストレスや不安を解消してあげるように対処する事が大切です。
犬のため息まとめ
犬のため息の多くは心理的な変化によって起こります。嬉しい時やリラックスしているといったポジティブな精神状態の時や、逆にストレスや不満を感じている時に気持ちを切り替える時にため息をつくケースもあります。
ポジティブな気持ちの時は問題ありませんが、ストレスなどのネガティブなため息の時は、原因を解消して犬を安心させてあげましょう。
愛犬のストレスの原因が分からない時は、犬の行動学に詳しい専門家に一度相談すると良いですね。
精神的な要因の他、気管支などの呼吸器系や心疾患などの病気が原因でため息をつく場合もあります。ため息の他にイビキや咳、食欲不振などの症状が見られたら、早めに病院へ連れて行くようにして下さい。