一般的に犬は全身が毛で覆われており、人間よりも体温が高く寒さに強いものです。
また、犬の体温は小型犬だと38.6〜39.2度、大型犬だと37.5〜38.6度あります。
しかし、犬はみんな寒さに強いと思われがちですが、種類や年齢によって寒さに弱い犬もいます。
そこで今回は
・寒さが犬に与える影響とは?
・寒さに弱い犬種と強い犬種の違いとは?
・犬の寒さ対策とは?
などの疑問にお答えします。
また「犬の寒さ対策をする時の注意点」についても解説しています。
ぜひ参考にしてください。
寒さが犬に与える影響とは?
【免疫力の低下で病気になる可能性がある】
犬も人間も、寒さで体温が下がると血液の循環が悪くなり、免疫力が低下してウィルスや細菌に感染しやすくなります。
近年では室内で飼われる犬が多く、寒さに触れる犬が少なくなっています。
そのため、体温調節をうまくできない犬が増えているそうです。
犬の体温調節がうまくいかず冷えた状態が続くと、ブルブルと震えてエネルギーを消費するので動きも悪くなります。
特に持病のある犬は、冷えそのものが持病を悪化させてしまうことも。
さらに、寒さ自体が犬のストレスになり、病気にかかってしまうこともあるので注意が必要です。
【犬の免疫力が落ちると発症しやすい病気】
冷えからくる犬の免疫力の低下で発症しやすい病気が以下の2つです。
1.ケンネルコフ
ケンネルコフとは「伝染性気管支炎」と呼ばれ、伝染性の呼吸器疾患の病気です。
また、ケンネルコフは「犬風邪」とも呼ばれ、低温で乾燥した環境を好むウィルスなので、冬はまん延しやすくなります。
生後6週〜6カ月の子犬が、もっとも影響を受けやすいので注意してください。
主な症状は
・気管が圧迫されているような咳
・発熱
・苦しそうな呼吸
・食欲不振
・呼吸困難
・ぐったりする
・肺音の異常
などが挙げられます。
ケンネルコフは、症状が軽ければ10〜14日ほどで回復します。
また、感染の可能性を低くするためにも、ワクチンを毎年接種するのがおすすめです。
2.下痢
普段は病気を発症しない少数の寄生虫が、犬の腸に感染していることがあります。
腸では善玉菌と悪玉菌がバランスを取りながら、健康な腸内環境を維持しているのは犬も人間も同じです。
しかし、体調の崩れや免疫力が落ちると、これらの寄生虫や悪玉菌が増殖し下痢を引き起こすことがあります。
冷えが原因で下痢になることもあるので、注意が必要です。
【冷えの影響を受けやすい犬の病気】
持病を抱える犬は特に冷えに注意が必要ですが、老犬も筋力が落ちるため冷えやすい傾向があります。
冷えが原因でなる病気は主に以下の3つです。
1.関節痛
関節の周りには筋肉や血管が少ないので、寒いと関節周辺の血流が滞り筋肉がこわばります。
さらに、筋肉や腱が冷えにより硬くなり、伸び縮みするときに筋肉や腱の付着部に力がかかってしまいます。
その結果、関節の痛みが増してしまうのです。
2.心臓病
犬も人間も体が冷えると、体中の血管が収縮して血圧が上がります。
そうすると心臓は普段よりも強く早く動くので負担がかかり、心臓病を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
3.尿石症・膀胱炎
寒さにより水を飲む量が減ると、尿が凝縮され膀胱内に結石ができやすくなります。
また、免疫力が低下することにより細菌が感染する可能性があるので、感染しないように注意が必要です。
寒さに弱い犬種と強い犬種の違いとは?
【ダブルコートの毛質】
犬の被毛には皮膚を保護する硬い毛質のオーバーコート(上毛)と、体温を調節する軟らかい毛質のアンダーコート(下毛)の2種類があります。
比較的寒さに強いのは、オーバーコートとアンダーコートの両方の毛質を持つダブルコートと呼ばれる犬種です。
また、ダブルコートの犬は寒くなるとアンダーコートの毛量が増え、ダウンジャケットのような役割を果たしてくれます。
基本的に寒い地域原産の犬種は、寒さに適応できるようにアンダーコートがしっかりと生えています。
【シングルコートの毛質】
オーバーコートの毛質のみの犬種は、シングルコートと言います。
基本的にシングルコートの犬は、保温してくれるアンダーコートがないため寒さに弱いです。
また、暑い地域原産の犬種はアンダーコートがなかったり、アンダーコートが極端に少なかったりするので寒さに弱い傾向があります。
幼い犬や老犬、病気を抱えている犬は、毛質や犬種に関係なく寒さに弱いので体調管理に注意してください。
【寒さに弱い犬種・強い犬種】
〖寒さに弱い犬種〗
・トイ・プードル
・マルチーズ
・ミニチュアダックスフンド
・ヨークシャーテリア
・パピヨン
・ミニチュア・ピンシャー
・チワワ
など
〖寒さに強い犬種〗
・シベリアンハスキー
・セントバーナード
・ゴールデンレトリーバー
・ラブラドールレトリーバー
・サモエド
・柴犬
・秋田犬
など
個体差はありますが、基本的に超小型犬やシングルコート、毛の短い犬種は寒さに弱いと言えます。
また、中・大型犬やダブルコート、長い毛の犬種は寒さに強いと言えるでしょう。
犬の寒さ対策とは?
【ケージの置く場所と室温】
外飼いしている犬の寒さ対策として、寒い日は玄関など家の中に入れるようにしましょう。
また、犬小屋やケージに毛布を入れたり、ペットヒーターを使ったりすることをおすすめします。
室内飼いの犬の寒さ対策では、「寒い場所を避けること」と「暖房器具を使うこと」が重要です。
室内で飼っている犬は寒さに触れる機会が少なく、体温調節がうまくできず寒さに弱くなっています。
なので、ケージの置き場所は寒い場所を避けましょう。
玄関や廊下、窓の近くは外気が入り込んで冷えやすいので、ケージを暖かい場所に移動してください。
ただし、直射日光があたる場所はNGです。
また、室温は20度前後で湿度を50〜60%を目安に、一定を保つように工夫しましょう。
床の低い場所と天井に近い場所では気温が違うので、温度計を犬の背の高さに合わせた場所に置いておくと良いですよ。
【ケージ自体の寒さ対策】
〖外飼いの場合〗
外飼いの犬ほど寒さ対策が必要です。
犬小屋は日当たりがよく、北風が当たらない暖かい場所に移動してください。
また、段ボールなどを犬小屋の外側に張り巡らせ、保温性を高めましょう。
こうすると外からの冷気を遮断できるので、防寒性が高くなります。
さらに、犬小屋の中には毛布やフリース素材などの、保湿性のある布地を敷きましょう。
〖室内飼いの場合〗
ケージを壁につけて置いている場合は、ケージと壁の間に段ボールなどを挟み、冷気を遮断します。
また、床からの冷えもあるので、ケージの下には断熱材や段ボールを敷きましょう。
ケージの上からも新聞紙や毛布などを覆いかぶせることで、ケージ内の保温性を高められます。
さらに、ケージの中に毛布やフリース素材など、保湿性のある布地を敷くと良いでしょう。
ペット用のヒーターや湯たんぽも有効です。
電気を使わずに犬自身の体温で暖かさを持続させるマットなどは、手軽かつ経済的なのでおすすめです。
【犬自身の寒さ対策と注意点】
外飼いの犬の場合は、皮下脂肪を増やすため、いつものドッグフードの量を10%増やして与えましょう。
また、筋肉量が増えると体温を上げやすくなるので、しっかり運動させてあげることをおすすめします。
室内犬の場合は、冬用の保温効果の高い洋服を着せてあげるのが効果的。
とくに、シングルコートの犬種は寒さに弱いケースが多いので、保温効果の高い洋服を着せることで防寒性を高めます。
首を温めるための犬用のスヌードなども、首が長い犬種にはおすすめです。
散歩前には軽くマッサージなどをして、犬の体を温めてから出かけると良いでしょう。
帰宅後は犬の足先や耳、尻尾などが冷えているので、軽くマッサージをすることで血行が良くなります。
室内犬などの寒さに弱い犬や雪道を散歩する場合には、足のケガなどを防止するためにもペット用シューズを履かせると良いでしょう。
また、外飼い犬、室内犬ともに、こまめにブラッシングしてください。
ブラッシングすることで被毛がフサフサになり、暖かい空気を蓄えやすくなります。
犬の寒さ対策をする時の注意点
エアコンなどで暖房する場合、部屋の温度に注意が必要です。
寒さに強い犬種は冬の方が快適な場合もあるので、暖まった部屋だけでなく涼しい場所に移動できるようにするといいでしょう。
ただし、やけどや火事に備えて、暖房器具はなるべく火を使わないことをおすすめします。
どうしても、ストーブなど火を使う暖房器具を使用する場合は、暖房器具の周りを柵などで囲い、犬が近づかないように注意してください。
また、電気の暖房器具を使用する場合は、犬がコードをかじらないよう注意が必要です。
床暖房を使用している場合は床全体が温かいので、犬が暑いと感じたときに避難できるように対策しましょう。
例えば、部屋の一部にすのこを敷いたり、小型犬の場合はソファの上にあがれるように逃げ道を作ってあげてください。
散歩の時間もなるべく暖かい時間帯を選びましょう。
まとめ
「犬種に合った寒さ対策を!」
犬種により被毛のタイプが異なるので、寒さに強い、弱いは種類によって違います。
また、外飼いの犬と室内飼いの犬でも、寒さ対策が異なる場合もあるので、犬種に合った寒さ対策をしてください。
寒さで体調を崩すこともあるので、ケージなどの適切な寒さ対策が必要です。
犬の様子をこまめに観察しながら、上手に暖房器具を使い犬種に合わせた寒さ対策をしてあげましょう。