ワンちゃんの3つの本能

愛犬を見ていて「なんでこんな行動するんだろう」と思ったことありませんか?
それは本能からくる行動かもしれません。だから本能を理解することで行動の理由がわかり対応方法(しつけ方)もわかる。今回はそんな本能のお話です。

目次

本能とは何か?

本能とはワンちゃんが生まれながらに持っている習性のようなもので、多少違いはあれど人間を含め動物全般にあり、特に教えなくても自然と体が動いたり反応したりするものです。ワンちゃんを子供のように思い接するのはとても良いことですが、人間の感覚で行動を理解し対応しようとするとズレが生まれてうまくいかなかったり最悪の場合は逆効果で悪化することだってある。だから「ワンちゃんの本能」を知ることはとても大事なことなんです。

本能と似ているもので犬種特性があります。これは犬種によって「運動能力が高い・水が好きで泳ぎが得意・性格」などの固有の特徴や傾向ですが、本能は犬種に関係なくワンちゃんが持っているものと考えてください。

諸説あり言葉(表現)が違うかもしれませんが「捕食本能」「危機回避本能」「繁殖本能」の3つで繁殖 > 危機回避 > 捕食の順に強いとされています。この記事ではこの3つについて解説していきます。

捕食本能

捕食とは他の動物を狩り食すことで、生きるためには絶対に必要な能力です。人間と生きることを選択し寄り添って生き抜いてきた今のワンちゃんには必要のない能力ですが、本能として残っていて観察すると行動の中にその片鱗を見ることができます。

よくわかるのはおもちゃで遊ぶ時で、おもちゃを動かすと飛びつき・噛みつき・引っ張るのは動く獲物に飛びかかり噛みつき肉を引きちぎり食す行動と似ています。きっと野生の動物もそういう遊びの中から狩りのやり方を子供に教えていくのでしょうね。

だからおもちゃで遊ぶ時は捕食本能を理解したうえでおもちゃの形状や素材、動かし方なども考えるとおもちゃに興味なく動きの少ないワンちゃんでもきっとおもちゃ遊びが好きになってくるでしょう。

わたしのお伝えするしつけ方はオヤツを使った方法がメインですが、この捕食本能をベースにしています。ワンちゃんは食べないと生きていけないのはわかっています。そして飼い主さんが食べ物を管理していることもわかっているので「どうやったら食べ物を確保できるのか」を考えているんです。

1日数回ごはんをあげるのは当然ですが、それ以外でオヤツをあげる時は望む状態や行動をしてくれた時など、何かしら条件をつけることでワンちゃんが理解し望む行動をしてくれるようになる。それがいわゆるしつけになります。

最初はオヤツ目当てで言うことを聞いていたワンちゃんも、しっかりと手順を踏んで信頼関係を築きオヤツを抜いていくことで飼い主さんとのコミュニケーションに喜びを感じ、それがごほうびとなっていくのでオヤツは必要なくなります。

ポイント

✅ オヤツを使った教え方は捕食本能がベース
✅ 関係が築ければオヤツは必要なくなる

危機回避本能

生死に関わるものなので捕食本能より強く優先される本能で文字通り危険を察知し回避する本能です。死んだら食べられないのですから捕食よりも優先されるのは当然ですよね。

家庭犬で命の危険を感じることはそうそう無いはずですが、それは人間の感覚でワンちゃんは危険を察知していろんな行動を取ります。その危機察知が人間の感覚とはズレがあるので本能をよく知らないと行動が理解できずに対応できなかったり間違った対応をしてしまうことがあるので気をつけてください。

「難易度を考える」の記事でお話しましたが、慣れていない場所や状況で難易度が上がるというのは危機回避本能が働くからです。捕食本能よりも優先されるのですから危機回避に神経を集中してオヤツは食べないし見向きもしない。教えることなんてできる状況じゃないし普段できることだってできません。だから危機回避が働かないように社会化をするのが大事ということになるんです。

危機回避と聞くと逃げる行動と考えがちですが、攻撃することも危機回避本能からくる行動になります。身に危険を感じてるけど逃げることができない状態なら生き残るために攻撃する。人間で言えば「正当防衛」にあたり理解できる行動ですよね。

「人・他犬への社会化」でリードを張らせてはいけないというお話をしましたが、人や他犬に慣れていない・恐怖心があるワンちゃんに対してリードを短く持ったり張らせると動きを制限することになり距離を取る、逃げることができなくなります。その状態で対象が近づいてくると危機回避本能から「逃げられないなら攻撃する」というスイッチが入る可能性が高いから好ましくないということなんです。

さらに具体例を挙げると「怖がりな子が吠える」のも危機回避行動のひとつと考えられます。吠えることで相手を威嚇して遠ざける、または飼主さんに助けてもらうために吠えている。だけど吠えることは良くないこととしか考えていない飼主さんは「吠えたら叱る」という対応をしてしまいがち。

ワンちゃんは怖くて吠えているのに味方だと思っていた飼主さんに叱られて助けてもくれない。。。そうなると信頼関係など築けるわけもなく、危険を回避できないワンちゃんは飼主さんに対しても攻撃的になることもある。

ワンちゃんは飼い主さんがいないと生きていけないとわかっているのですから、飼主さんに攻撃するというのはよほどの理由がない限りしないはずなんです。はっきり言いますが噛むようになったならだいたい原因は飼主さんにあります。飼い主さんが悪いということではなく、知らずに意図せずともワンちゃんが噛まざるをえない対応をしているということです。

このように特に危機回避本能は理解していないととても困る行動に発展する可能性があり、関係も悪化するので治すのに時間がかかることが多いので十分な理解が必要です。

ポイント

✅ 危機回避本能が働かないように社会化をすることが大事
✅ 攻撃も危機回避からくる行動

繁殖本能

種を絶滅させないため、繁栄させるために子孫を残すことはどんな動物でも最優先とされる本能です。恋人犬に会うために海を泳いで渡ったという実話を元にした映画がありましたが、単独で海を渡るなんて最悪死ぬことだってある危険な行為です。繁殖というと品が無いかもしれませんが死の危険よりも繁殖本能が勝っているひとつの例だと思います。

しつけ目線で考えてみると「発情期を理解すること」と言えるでしょうか。女の子はヒート(生理)があり発情期と無発情期の周期を繰り返します。男の子は特に発情期というものはなく、近くに発情期の女の子がいるといつでも発情するという感じです。

発情期の時は通常より不安定と考えられるので難易度が上がり何かを教えるのに適さない時期となります。とはいえ目の前やすごく近くに発情期の子がいると興奮して大騒ぎだと思いますが、1対1で自宅などで教える時はそれほど影響がないはずなのであくまでも通常よりちょっとだけ難しい程度に覚えておいてください。

ただし男の子は女の子が発情期なのを数キロ離れていても匂いでわかると言われているので、近所に発情期の子がいるとちょっと落ち着かないとか興奮しがちなどの見てわかるほど状態が変わる可能性はあります。

ポイント

✅ 繁殖本能が一番強い本能
✅ しつけに影響は少ないが発情期を理解しておく

3つの本能ご理解いただけたでしょうか。ワンちゃんにはワンちゃんの理屈があり行動しています。それが本能であれ性格からくるものであれ飼い主さんを困らせようと思ってやっていることは何ひとつないはずです。

ワンちゃんのことを勉強し理解することでイラだつことも少なくなるし、原因がわかれば解決方法もわかります。愛犬と共に楽しく暮らすためにもっと愛犬のことを知ってください。

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