【犬のアレルギーにまつわるお話】犬のアレルギーの種類や症状について治療法も解説!

人間が花粉症や動物アレルギー・食物アレルギーなどがあるように、犬にもアレルギーが出る子もいます。

すべての犬が必ずアレルギーが出るわけではなく「アレルギー体質」な子もいて、その要因もさまざまです。

犬のアレルギー症状になかなか気付かずにいる飼い主さんも多く、症状が重くなる頃にようやく異変に気付いたという事も珍しくはありません。

アレルギー症状の中にはかゆみやくしゃみなど愛犬にとってストレスになる症状も出るため、飼い主さんは早めに気付いて対処をすることが大切です。

ここでは、犬のアレルギーについて、犬に多いアレルギーの種類や症状、治療法についてご紹介いたします。

(2026年8月更新)犬のアレルギー診療は、この数年で治療の選択肢が広がり、検査の使い方についての考え方も整理されてきました。今回の更新では、現在国内で使われている主な治療の位置づけ、食物アレルギーを確かめるための「除去食試験」の進め方、アレルギー検査でわかること・わからないこと、そして秋(9〜11月)に増えやすいアレルゲンについて加筆しました。

目次

【犬のアレルギー】アトピー性皮膚炎の症状と治療法

犬のアトピー性皮膚炎の症状は主に、顔周辺や足、下腹部や腹部などに痒みが生じます。強いかゆみがある事もあり、掻くことによって傷が生じ、そこから菌が入ってしまったり脱毛してしまう事もあります。

好発すると言われている犬種は日本でも飼育数が多い「柴犬」「フレンチブルドック」「シーズー」「ゴールデンレトリバー」その他にも「テリア」「セッター」「ダルメシアン」「シャーペイ」などが挙げられています。

アトピー性皮膚炎と診断された場合、薬用シャンプーを使用したり生活環境でできるだけアレルゲンを除去してあげるなどの治療法がありますが、自己判断で対処をせずにまずは獣医師に相談しましょう。

その他にも、アレルゲンを少量ずつ投与して身体を慣らしていく減感作療法もあります。

かゆみが強い時期には、顔まわりや脇、内股のほか、指間炎(足先の皮膚炎)や外耳炎といった形で症状が出てくることもあります。

犬アトピー性皮膚炎の治療は「組み合わせ」が基本

犬アトピー性皮膚炎は、遺伝的な体質・皮膚のバリア機能の低下・環境中のアレルゲンなど複数の要因が絡んで起こる多因子性の病気と考えられています。そのため治療も1つに絞るのではなく、その子に合うものを組み合わせて探していく「オーダーメイド」の考え方が一般的です。

  • 内服などの薬物療法:ステロイド、シクロスポリン(免疫抑制剤)、オクラシチニブ(アポキル®)などのJAK阻害薬、抗ヒスタミン薬、インターフェロン-γ製剤などが状況に応じて使い分けられます。2024年11月には新しいJAK阻害薬のイルノシチニブ(ゼンレリア™錠)も国内で登場し、選択肢が増えました。
  • かゆみに関わる物質を狙った注射薬:ロキベトマブ(サイトポイント®)は、犬のかゆみに関わるIL-31というサイトカインを標的にしたモノクローナル抗体製剤で、動物病院で月に1回程度の皮下投与として使われます。かゆみへのアプローチが中心のため、皮膚の炎症や感染がある場合は他の治療を併用することがあります。
  • スキンケア(シャンプー・保湿):皮膚に付いた環境アレルゲンを洗い流す目的で、国際的なガイドラインでは週1回程度のシャンプーが目安として示されています。バリア機能が落ちているため低刺激の洗浄成分を選び、洗った後はしっかり保湿することがすすめられています。
  • 環境管理:ハウスダストマイト(室内のダニ)に反応する子が多いため、こまめな掃除や寝床の見直しが対策になります。花粉が疑われる場合は、散歩時に服を着せてアレルゲンの付着を減らす方法もあります。
  • 減感作療法(アレルゲン特異的免疫療法):原因アレルゲンを少量ずつ体に入れて反応を和らげていく方法で、皮下注射のほか、近年は舌下から投与する方法を取り入れる施設もあります。体質そのものにはたらきかける数少ない選択肢ですが、効果の出方には個体差があり、続ける期間も長くなります。

どの治療が向いているかは、症状の重さ・年齢・持病・生活環境・ご家庭で続けられるかどうかによって変わります。薬にはそれぞれ使ってはいけない条件や注意点が定められているため、犬の皮膚病の記事で紹介しているような他の皮膚トラブルとの見分けも含めて、必ず獣医師の診察と処方のもとで進めてください。なお、この記事では具体的な薬の量や飲ませ方については触れていません。

目標は「完治」より「コントロール」

犬アトピー性皮膚炎は体質が関わる病気のため、治療によって完全に治しきることは難しく、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら生涯にわたって付き合っていく病気とされています。裏を返せば、かゆみを抑えて皮膚の状態を落ち着かせられれば、愛犬の生活の質は大きく変わります。「治らないから」とあきらめず、かかりつけの動物病院や獣医皮膚科に相談してみましょう。

スキンケア用品を選ぶときの注意

薬用シャンプーは種類によって洗浄力が大きく異なります。皮脂を落とす力が強いものは、バリア機能が落ちた皮膚には負担になることもあるため、自己判断で強いものを選ぶより、診断に合わせて獣医師に相談するほうが安心です。選び方の基本は【獣医師監修】犬のシャンプーの選び方の記事でも解説しています。

【犬のアレルギー】ノミアレルギー性皮膚炎の症状と治療法

ノミの唾液に反応を起こして発症するのが、ノミアレルギー性皮膚炎といいます。ノミアレルギー性皮膚炎の症状は主に強いかゆみです。

尻尾や腰(背部)足の付根、後ろ足、腹部などに良く症状がみられて、かきむしったり舐め続けていることによって脱毛などの症状も出ることがあります。

治療法は飲み薬やスポット薬などを使用してノミを駆除し、炎症などが起こっている箇所はその治療も必要となります。

日頃のノミ予防がノミアレルギー性皮膚炎の予防に繋がりますので、ノミ予防を定期的におこなう事をおすすめします!

なお「ノミは夏だけ」というイメージがありますが、ノミは室温がおよそ13℃を超えていれば活動できるとされ、暖房の効いた室内では冬でも繁殖しうると説明されています。そのため近年は、季節を区切らず通年で予防することをすすめる動物病院も増えています。予防薬は体重や年齢、ほかの薬との兼ね合いで選ぶ必要があるため、動物病院で処方を受けましょう。

また、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの治療を始める前に、ノミやヒゼンダニなどの寄生虫、細菌・真菌(マラセチアなど)の感染がないかを確認しておくことも大切です。かゆみの原因がこれらだった場合、アレルギーの薬だけでは改善しないためです。

【犬のアレルギー】食物アレルギーの症状と治療法

犬の食物アレルギーの中でも多く報告されているアレルゲンは「牛肉」「乳製品」「穀物」「鶏肉」「卵」などです。

主な症状は痒みですが、涙がよく出て涙やけが出来てしまったり、外耳炎や下痢、その他消化器官疾患などを併発することもあります。

食べ続けていたいつもの食事でも、急に発症する事もありますので飼い主さんは「アレルギー症状」だと気付かないことも珍しくはありません。

治療は主に再発を避けるために食事療法となります。まずは、アレルゲンとなる食物が何なのかを探らなければいけません。自己判断をせずに、まずは獣医師へ相談しましょう。獣医師へ相談する際にはいつもの食事について具体的に伝えられるようにしておきましょう。

海外の複数の報告をまとめた2016年の系統的レビュー(Muellerらの調査)でも、犬の食物アレルゲンとして報告が多いのは牛肉・乳製品・鶏肉・小麦などとされています。これらは「危険な食材」というより、犬用フードで長く広く使われてきた=犬が触れる機会が多い食材であることが背景にあると説明されています。

食物アレルギーでは、かゆみだけでなく外耳炎を繰り返す、涙やけ、軟便・下痢といったサインが並行して見られることもあります。

食物アレルギーの確定診断は「除去食試験」

血液で調べるIgE抗体検査やリンパ球反応検査だけで食物アレルギーを確定することはできず、現在も診断のゴールドスタンダードは除去食試験(除去食+負荷試験)とされています。実際の進め方は獣医師の指示によりますが、一般的には次のような流れです。

  • アレルゲンになりにくいフード(たんぱく質を細かく分解した加水分解食、またはこれまで食べたことのない食材を使った新規タンパク食)だけを与える
  • 試験期間中は、おやつ・人の食べ物・味付きのサプリメントやおやつ型の薬・噛むおもちゃなど、指定されたフード以外のものを与えない
  • 皮膚症状の改善には数週間〜8週間程度かかることがあり、消化器症状のほうが早く改善する場合もあると報告されています
  • 症状が落ち着いたら、元のフードや疑わしい食材をあえて与えて症状が戻るかを確認する(負荷試験)ことで、原因を絞り込みます

除去食試験がうまくいかない大きな理由が「うっかり与えてしまう他の食べ物」です。ご家族全員で与えないルールを共有しておくと、判断がぶれにくくなります。試験に使うフードや期間は一頭ごとに変わるため、必ず獣医師と相談のうえで開始してください。

なお、若いころに除去食試験で反応が出ず犬アトピー性皮膚炎と診断された子でも、中高齢になってから食物アレルギーを併発することがあると指摘されています。日ごろから「何を食べているか」を把握しておくと、いざというときの手がかりになります。

犬のアレルギー検査でわかること・わからないこと

「アレルギー検査をすれば原因がはっきりする」と思われがちですが、現在の考え方は少し異なります。血液を使ったIgE抗体検査やリンパ球反応検査は、あくまで診断の補助・参考情報という位置づけです。

  • IgE抗体検査:ハウスダストマイトや花粉など、環境アレルゲンへの反応をみる目安になります。減感作療法を検討する際の材料としても使われます。
  • リンパ球反応検査:食物に対して遅れて出るタイプの反応をみる検査で、除去食に使うフードを選ぶ際の参考にされることがあります。
  • いずれも確定診断にはならない:検査の数値が高くても実際には症状が出ない食材があり、逆に検査で反応が出なくても症状が出ることがあります。食物アレルギーの確定には除去食試験が欠かせません。

検査費用は自由診療のため病院ごとに幅がありますが、血液によるアレルギー検査はおおむね1万5,000円〜2万5,000円前後を目安として紹介されることが多く、これに初診料・再診料や採血の費用が加わる場合があります。事前に見積もりを確認しておくと安心です。

また、アレルギー検査の前に、ノミ・ダニなどの寄生虫やマラセチア・細菌感染がないかを確かめる検査を行うのが一般的です。かゆみを起こす原因はほかにもあるため、犬の皮膚病の症状・見分け方をまとめた記事もあわせて確認してみてください。

秋(9〜11月)に気をつけたい犬のアレルゲン

アレルギーの症状は季節によって波があります。とくに秋は、次の2つが重なりやすい時期です。

  • 秋の花粉:ブタクサやヨモギなどキク科の植物の花粉は、おおよそ8月下旬から10月ごろにかけて飛散します。草むらの多い散歩コースでは、体に花粉が付きやすくなります。
  • ハウスダストマイト(室内のダニ)由来のアレルゲン:夏に増えたダニの死骸やフンなどのアレルゲンは秋に量が増えるとされ、皮膚炎の悪化要因になることがあります。

対策としては、散歩後に体を拭く・ブラッシングをする、寝具やカーペットをこまめに洗って掃除機をかける、症状が出やすい時期の前から獣医師とケア方針を相談しておく、といった方法が挙げられます。症状に季節性がある子ほど、悪化する前の「先回りのケア」が大切です。

犬のアレルギーはアレルゲンを排除することが大切

犬がアレルギーと診察された場合、治療が開始されますが、それと同時にアレルゲンを排除することも大切です。

また、アレルギー症状がでていても飼い主さんが気付かない事もあります。

どのアレルギーでも「痒み」は代表的な症状です。その他にも皮膚に炎症が見られたり、食物アレルギーの場合は軟便・下痢などの消化器官の症状が出るケースもあります。

愛犬が良く身体を掻いていたり、しきりに舐めている様子が見られる場合は迷わずかかりつけの動物病院へ相談するようにしましょう。

犬のアレルギーに関するよくある質問(FAQ)

Q. 犬のアレルギー検査の費用はどれくらいかかりますか?

A. 動物医療は自由診療のため病院によって差がありますが、血液によるアレルギー検査は1万5,000円〜2万5,000円前後を目安として案内されることが多いようです。別途、初診料・再診料や採血料、事前の皮膚検査の費用がかかる場合があります。受診前に費用の目安を問い合わせておくと安心です。

Q. 犬のアレルギーは治りますか?

A. タイプによって異なります。犬アトピー性皮膚炎は体質が関わるため完治は難しく、生涯にわたって症状をコントロールしていく病気とされています。一方、食物アレルギーは原因となる食材を特定して避けられれば症状が落ち着くことが多く、ノミアレルギー性皮膚炎はノミの駆除と予防が中心になります。まずは何のアレルギーなのかを見極めることが第一歩です。

Q. アポキル(オクラシチニブ)の副作用が心配です

A. 農林水産省 動物医薬品検査所が公開している添付文書情報では、投与により一時的な嘔吐や下痢がみられることがあると記載されています。また免疫を抑える作用があるため、重い感染症のある犬、進行性の悪性腫瘍が疑われる犬、生後12か月齢未満の犬、交配予定・妊娠授乳中の犬には投与しないこととされ、長期に使う場合は定期的な血液検査を実施することが望ましいとされています。要指示医薬品なので、必ず獣医師の処方と定期的な診察のもとで使い、気になる症状が出たら早めに相談してください。

Q. フードを変えるだけで犬のかゆみは治りますか?

A. 食物アレルギーが原因であればフードの見直しが役立ちますが、犬アトピー性皮膚炎やノミアレルギー性皮膚炎ではフードだけで解決しないことがほとんどです。また、自己判断でフードを次々に変えてしまうと「まだ食べたことのない食材」が減り、いざ除去食試験を行うときに選べるフードが限られてしまいます。フード変更を考えたら、まず獣医師に相談しましょう。

Q. アレルギーがある犬はシャンプーをどのくらいの頻度ですればいいですか?

A. 犬アトピー性皮膚炎では、皮膚に付いたアレルゲンを洗い流す目的で週1回程度が目安として国際的なガイドラインに示されています。ただし皮膚の状態や使うシャンプーによって適切な頻度は変わり、洗いすぎもバリア機能の負担になります。洗った後の保湿もセットで考え、頻度と製品は獣医師と相談して決めるのが確実です。

まとめ

人間同様、犬にもアレルギーがあり、愛犬は痒みや身体の不調に苦しめられています。

早期発見・早期治療によって愛犬を症状のストレスから開放してあげられるだけではなく、症状の悪化を予防することも出来ますので、少しでも気になる症状があれば早めに動物病院へ受診するようにしましょう!

なお、この記事は一般的な情報の紹介であり、診断や治療方針を示すものではありません。薬の種類や使い方、検査の要否は一頭ごとに異なります。愛犬の症状で気になることがあれば、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。

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