犬のドッグフードの切り替え方|移行手順と下痢を防ぐコツ

ドッグフードを食べる犬

結論:ドッグフードの切り替えは7〜10日かけて行うのが基本です。初日は新しいフードを全体の25%だけ混ぜ、便を確認しながら徐々に増やします。いきなり全量を変えると、腸内細菌が対応できず下痢や嘔吐の原因になります。

環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」でも、フードは慣れた食餌に少しずつ混ぜることが推奨されています。期間の目安は1〜2週間です(出典:環境省・飼い主のためのペットフード・ガイドライン)。

本記事では、日別の配合表つきで失敗しない切り替え手順を解説します。下痢になったときの対処と、受診すべき危険サインまでまとめました。

目次

なぜ「いきなり全部変える」と下痢になるのか

犬の腸は、いま食べているフードに合わせて働いています。腸内細菌のバランスも、消化酵素の分泌量も同じです。長期間同じフードを食べるほど、腸はそのフードに最適化されます。

そこへ突然、原材料も脂質量も違うフードが100%入ってくるとどうなるか。腸内細菌が新しい成分を分解しきれず、未消化物が大腸に流れ込みます。その結果、軟便・下痢・嘔吐・ガスの増加が起こりやすくなります。

これはフードの品質の問題ではありません。「変わり方が急すぎた」ことが原因のケースが大半です。切り替え初日に下痢をしただけで「このフードは合わない」と判断するのは早計です。

人間でも、旅行先で食事が急に変わるとお腹を壊すことがあります。犬は人間以上に「毎日同じもの」を食べて暮らす動物です。腸が受ける変化の衝撃は、人間の比ではありません。

また、短期間に何種類も試すのも避けましょう。体調を崩したとき、どのフードが原因か特定できなくなります。切り替えは一度にひとつずつが鉄則です。

新旧のドッグフードを混ぜる切り替えイメージ

基本の切り替え手順|7〜10日の配合スケジュール

標準的な切り替えは、以下の4段階で進めます。各段階で便の状態を確認し、問題なければ次へ進みます。

日数新しいフード今までのフード1日100g給餌の場合
1〜2日目25%75%新25g+旧75g
3〜4日目50%50%新50g+旧50g
5〜6日目75%25%新75g+旧25g
7日目以降100%0%新100g
7日間の標準スケジュール。便がゆるければ前の段階に戻す

ポイントは3つです。第一に、割合は「重さ(g)」で量ること。目分量では毎日ぶれます。第二に、毎回の食事で新旧をよく混ぜること。別々に置くと新しいフードだけ残す犬がいます。

第三に、給餌量そのものの再計算です。フードごとに100gあたりのカロリーは異なります。例えば旧フードが350kcal/100g、新フードが400kcal/100gなら約12%減らす必要があります。パッケージの給与量表を必ず確認しましょう。適正量の考え方は犬の1日の食事量と回数の記事で詳しく解説しています。

フードを切り替えるべきタイミング

そもそも、どんなときに切り替えが必要になるのでしょうか。代表的なのは次の4つの場面です。

ライフステージの変化

子犬用から成犬用へは、小型犬で生後8〜10カ月、大型犬で1歳半〜2歳が目安です。成長が落ち着いた後も子犬用の高カロリーフードを続けると、肥満の原因になります。シニア用への移行は7歳前後が一般的な目安です。シニア期の食事は老犬のごはん完全ガイドを参考にしてください。

体重・体調の変化

去勢・避妊手術後は代謝が落ち、太りやすくなります。体重管理用フードへの切り替えを検討するタイミングです。皮膚のかゆみ・涙やけ・慢性的な軟便が続く場合は、アレルギーの可能性もあります。この場合は自己判断せず、獣医師と相談して原材料を選びましょう。

リコール・製造終了

ペットフード安全法に基づき、農林水産省と環境省はリコール情報を公表しています。使用中のフードが対象になったら、すぐ給餌を中止してください。この場合のみ、移行期間なしの切り替えもやむを得ません。数日は消化しやすい食事にして、便の様子を注意深く観察します。

新しいフード選びの基準はドッグフードの選び方の記事で詳しく解説しています。

切り替え中に下痢・軟便・食べないときの対処

軟便・下痢が出たら「一段階戻す」

切り替え中の軟便は珍しくありません。まず新しいフードの割合を一段階前に戻します。例えば50%で軟便が出たら25%に戻し、2〜3日様子を見ます。便が安定したら、再びゆっくり進めてください。

戻しても改善しない下痢が3日以上続く場合は、受診が必要です。血便や水様便の見分け方は犬の下痢の原因と対処法で解説しています。

食べないのは警戒心。無理強いしない

新しいフードを残すのは、わがままではなく防衛本能です。香りや粒の食感が変わると、犬は慎重になります。対処法は3つあります。

  1. 新しいフードの割合を10%程度まで下げて再スタートする
  2. ぬるま湯(40度以下)でふやかし、香りを立たせる
  3. 食べなくても15〜20分で器を下げ、次の食事まで待つ

数日試しても全く口にしない場合は、そのフードとの相性を見直します。丸2日以上まったく食べない場合は、病気が隠れている可能性もあるため受診してください。

敏感な犬・シニア犬はもっとゆっくり|個体差の見極め

シニア犬はゆっくりフードを切り替える

7日間はあくまで標準です。次に当てはまる犬は、各段階を2倍にした14〜20日プランで進めましょう。

  • 7歳以上のシニア犬(消化機能が低下し始める)
  • 過去にフード変更で下痢をしたことがある犬
  • もともと軟便になりやすい・胃腸が弱い犬
  • 食が細く、環境変化に敏感な犬

切り替え中は毎日4点をチェックします。便のかたさと回数、食欲、皮膚のかゆみ、元気さです。この4点が安定していれば、そのフードは体に合っていると判断できます。

14〜20日プランの配合例

日数新しいフード今までのフード
1〜4日目25%75%
5〜8日目50%50%
9〜12日目75%25%
13日目以降100%0%

さらに慎重に進めたい場合は、初日を10%からスタートします。毎日10%ずつ増やす方法なら、約10日で無理なく移行できます。途中で軟便が出たら、その割合で数日キープしてから再開しましょう。

ドライからウェットへ変えるときの注意

フードの形状が変わる場合は、水分量の違いに注意が必要です。ドライフードの水分は10%以下、ウェットフードは約75%です。同じ重さで比べるとカロリーが大きく異なります。見た目の量ではなく、必ずカロリーベースで給餌量を計算してください。

こんな症状は中止して受診|危険サインの目安

次のいずれかが見られたら、切り替えを中止して動物病院を受診してください。

症状受診の目安
水様便(水のような下痢)2日以上続いたら受診
下痢+嘔吐の併発当日〜翌日に受診
血便・黒いタール状の便すぐに受診
ぐったりして動かないすぐに受診
まったく食べない丸2日続いたら受診
顔や体のかゆみ・発疹アレルギーの可能性。早めに受診

特に子犬とシニア犬は、下痢による脱水が急速に進みます。体重の小さい犬ほど、様子見の時間を短くしてください。受診時は「いつから」「何を」「どの割合で」与えたかをメモして伝えると、診断がスムーズです。可能なら便の写真も撮っておきましょう。

よくある質問

Q1. ドッグフードの切り替えは何日かけるべきですか?

標準は7〜10日です。新しいフード25%から始めて、2日ごとに25%ずつ増やします。シニア犬やお腹の弱い犬は14〜20日かけてください。環境省のガイドラインでも1〜2週間かけた切り替えが推奨されています。

Q2. 切り替え中に下痢になったらどうすればいいですか?

新しいフードの割合を一段階前に戻し、2〜3日様子を見ます。改善したら再開して構いません。戻しても下痢が3日以上続く、または血便・嘔吐・元気消失がある場合は受診してください。

Q3. フードを一気に変えてしまいました。大丈夫ですか?

元気で便も正常なら、そのまま様子見で問題ありません。軟便が出たら前のフードに戻し、改めて段階的に切り替えます。前のフードが手元にない場合は、給餌量を少なめにして数日かけて胃腸を慣らしてください。

Q4. 新しいフードを食べ残します。失敗でしょうか?

失敗とは限りません。警戒して食べないだけのことが多いです。割合を10%程度に下げる、ぬるま湯でふやかすなどで慣らせます。数日かけても全く食べない場合は、タンパク源の違う別フードを検討しましょう。

Q5. 切り替え後、体重が増えました。フードが合っていない?

フードごとにカロリー密度が違うことが原因の可能性が高いです。同じグラム数でもカロリーが1〜2割違うことは珍しくありません。パッケージの給与量表を確認し、月1回の体重測定で量を調整してください。

まとめ|あせらず、便を見ながら少しずつ

ドッグフードの切り替えは「7〜10日・25%刻み・便を見ながら」が鉄則です。軟便が出たら一段階戻る。3日以上続く下痢や血便はすぐ受診。この2つを守れば、切り替えの失敗はほとんど防げます。

新しいフード選びに迷ったら、ドッグフードの選び方もあわせてご覧ください。

参考・出典環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン〜犬・猫の健康を守るために〜」農林水産省「ペットフードの安全関係(ペットフード安全法)」

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、獣医師による診断・治療の代替となるものではありません。愛犬の体調に異変を感じた場合は、速やかにかかりつけの獣医師にご相談ください。

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