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【第11回レッスン】意外と知らない合図の基礎

オスワリ・マテなど愛犬に合図を送る飼い主さん。都合よく聞いたり聞かなかったフリをする愛犬。。。「あるある!」と思った方や「うちの子は言う事聞く」という飼い主さんにもお役に立つ合図の基礎についてお伝えしていきたいと思います。

合図ってなに?

合図ってなんでしょう。命令?コミュニケーション?
わかりやすいようにほとんどの飼い主さんが教えているであろう「オスワリ」を例に説明していきます。

愛犬と楽しく笑顔で暮らすために

しつけ=コミュニケーションです。そしてコミュニケーションを取るために飼い主さんと愛犬の間だけで通じる共通言語が合図になります。

合図の意味と言葉は飼い主さんが自由に考えることができます。そして愛犬にちゃんと認識させられれば意思疎通ができ、飼い主さんの望みを愛犬に伝えてお互いにストレスなく楽しく暮らせるようになります。だから合図は必用でありとても大事なものなんです。

愛犬の命を守る

ノーリードで逃げてしまった時、危険な物をくわえた時などに合図ひとつで止めて愛犬の命を守るのも合図の大事な役割です。他人や他犬に攻撃的な時も同様に止められればトラブルも起きません。被害者・加害者にならないためにも合図を聞いてもらえるようにしましょう。

合図で大事なこと

オスワリと言ってやってくれなかった時にもう1回オスワリと言ってしまいがちです。たとえそれでオスワリしても成功率50%です。そして愛犬は「2回に1回やればいいんだな」と理解します。それが3回に1回となり最終的には気が向いたら言うこと聞けばいいやとなっていくんです。

「合図の成功率=愛犬の命を守れる確率」と考えればどれだけ大事かわかるはずです。普段から合図をいい加減にせず、失敗しないようにしていくことでいざという時に役に立ちます。1回失敗したらそのあと10回連続成功させてプラスマイナスゼロくらいと考えてください。

オスワリができるというのは「オスワリと1回言えば、すぐに必ずやってくれる」のが完成形でそれが一番大事なことです。いざという時に言う事聞いてくれないような合図では意味がないので完成形を目指してがんばりましょう。

ポイント

合図とは?
  🔸 愛犬との共通言語
  🔸 楽しく暮らすために必用なもの
  🔸 愛犬の命を守るもの
「1回言えばすぐに必ずやってくれる」のが完成形

合図の意味を考える

オスワリ、フセ、マテなどは多くの飼い主さんが教えている合図です。では「オスワリの合図は何をすることでしょうか?」そう飼い主さんに問いかけてしっかり答えられる人はけっこう少ないんです。ほとんどの方は「オスワリの姿勢(お尻を地面につける)をすること」と答えますが不十分です。

それだとお尻を一瞬地面につけてもオスワリになり、そのあと動き回ってもいいことになります。オスワリとは「オスワリの姿勢をし続ける」ことです。そのほうが飼い主さんに都合がよく普段の生活でとても役立つ合図になります。上級者なら「その場で」と条件をつけたほうが難易度は上がりますが実用性も上がります。

実際やってみるとわかりますが、愛犬に背を向けたり離れてオスワリと言うと、ほとんどのワンちゃんは飼い主さんの目の前に来てオスワリをするはず。ということは愛犬は「飼い主さんの前でオスワリする」と理解しているんです。そう教えたのなら問題ありませんが違うなら伝わっていないということ。そこまで考えていなかったのならちゃんと合図の定義を考えてから教えましょう。「何をどこでどうすればいいのか」「いつまでやればいいのか」を具体的に決めることで愛犬もわかりやすく飼い主さんにとっても使いやすい合図になります。

一貫性と統一性

合図の定義を決めたら次は一貫性を持って教え、使うことが大事になります。飼い主さんは「オスワリし続けること」と理解していても、実際は曖昧にしてやり続けてほしい時だけ動くとダメでそれ以外は動いてもOKにしている人が多い。

TPOや飼い主さんの気分を愛犬に読み取れというのは無理ではないですが高度なことです。だから合図の定義を決めたら曖昧にせず一貫して飼い主さんが守ることで愛犬に伝わりやすく失敗も少なくなります。愛犬がいい加減だったら飼い主さんがいい加減にしていると思ってください。愛犬は飼い主さんが教えたようにしか覚えないし飼い主さんに似るんです。

合図の言葉に一貫性を持たせるのも大事です。「オスワリ」と「オスワリして」「オスワリは?」は別の合図です。前後に余計な言葉を入れるのは邪魔以外の何者でもなく、愛犬が混乱・迷う要因になります。合図の前に名前を呼ぶのもNGです。合図だけを言ったほうが聞き取りやすく理解しやすいので「合図は短くシンプルに」が鉄則です。

さらに名前を呼ぶデメリットは「名前+合図」じゃないと言うこと聞いてくれなくなることです。ワンちゃんにはもともと名前という概念はないので、名前を合図の一部と理解してしまうのは考えてみれば当たり前ですよね。

家族がいる方は合図の定義と言葉を家族全員で統一しましょう。それぞれ違ったらワンちゃんは混乱し覚えられるわけがありません。「この人達の言うことはわからない」と思われれば聞く耳さえ持ってくれなくなる可能性もあるので家族で話し合い表にして貼っておくなどするといいでしょう。

ポイント

✅ 教える前に合図の定義をしっかり考えておく
✅ 合図の言葉は短くシンプルに
✅ 合図の定義と言葉を一貫して統一して教え使う

必用な合図

どんな合図の定義・言葉にするかは飼い主さんの自由ですが、必用な合図がいくつかあるのでお伝えします。

開始と終わり

開始というのは合図そのもので「オスワリ」が開始の合図になります。開始があるなら当然終わりを決めてあげないといけません。多くの飼い主さんは終わりを決めず曖昧にしたり、言ったり言わなかったりします。そうすると「もういいかな?」と思ったらやめてしまい、ワンちゃんが終わりを決めてオスワリし続けることができなくなる。

この説明をするとほとんどの飼い主さんは「ワンちゃんは間違ってないな」と理解してくれます。終わりを決めていいと教えられてるんですから勝手にやめていいんです。でもそれだと飼い主さんに不都合な場面も出てきます。

家でなら問題ないかもしれませんが、散歩中や動物病院で大人しくしてほしい時にオスワリしてもらってもすぐに動き出したら困ってしまいます。そのために「終わりの合図」を決めて、その合図を言うまでし続けることを徹底して教えていくことが大事になります。

それが正解!

何かを教えるということは飼い主さんの望む正解があります。それを伝えるために「それが正解!」という合図を作っておくとお互いにわかりやすく楽になります。

私は「そう」と言っていましたが「グー(good)」「グッボーイ(good Boy)」などを使う人もいます。これを単純に褒める言葉として使う方もいますが、それだとワンちゃんは「なんかわからないけど自分にとっては良い言葉だな」と思うくらい。

ちゃんと「正解」という合図を理解してもらい、オスワリした瞬間にその合図を言うことでワンちゃんに望みを伝えることができ、合図でオスワリができるようになります。

褒められるとワンちゃんは嬉しいけど、その言葉でなにかを教えられたり覚えたりするものではありません。褒める言葉はあっていいですが合図とは別なので注意してください。「意味のある合図」と「意味のない言葉」は飼い主さんがちゃんと理解・意識して使い分けるよにしましょう。

タイミング

成功しやすいタイミングで合図を言ってあげることも大事です。失敗する原因として、聞いてくれるような状況・状態じゃないのに合図を連呼して失敗を繰り返すことが多いんです。そうすると成功率が下がり合図の意味も薄れ言うことを聞いてくれなくなっていきます。

私の愛犬の場合だと人・犬が大好きなので、視界に入った途端に興奮スイッチが入り合図なんて聞く耳持たなくなります。言っても聞かないのがわかっているのに合図を言うのは、失敗の経験をさせるだけなのでけっして「マテ」など合図を言ってはいけません。そんな状態になったら黙って遠ざかるか「OK(自由にしていいよの合図)」と言って遊ばせてあげるのが最善です。

同様に飼い主さん以外に意識や視線が向いている場合も失敗しやすいですが、名前を呼んで自分に意識を向けてから合図を言うことで聞いてくれる可能性もあります。これは「名前+合図」ではなく、あくまでも意識を向けさせるためにたまに使うならOKですし効果はあります。成功するかどうかはいままでの教え方次第です。ワンちゃんが今やりたいことと、合図を聞くことのどちらにメリットがあるかを天秤に掛けて行動するからです。どうなるか試してみるのもいいかもしれませんね。

ポイント

終わりの合図を決めて、終わりを飼い主さんが決める
✅ 「意味のある合図」と「意味のない言葉」を飼い主さんが理解・意識して使い分ける
成功するタイミングで合図を言う

合図の定義や完成形など堅苦しい話しもしましたが、それだけ考えると飼い主さんもワンちゃんも窮屈だと思うのでもっと気楽に考えてもらって大丈夫です。たとえば私は同じ行動でも2種類の合図があって、普段気楽に使えて成功率が低くてもいい合図を日本語で教え、絶対に言うことを聞いてほしい時に使う成功率100%の合図を英語で教えていました。

教える時は短時間で集中して完成形を求め、普段はゆったりと気楽に愛犬と過ごす。そんな暮らしのお手伝いができたならうれしいです。

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【笑犬】のっぽ

【笑犬】のっぽ

ペット専門学校にて非常勤講師を務め、現在はフリーで「愛犬しつけ方インストラクター」として活動中。『しつけ=コミュニケーション』 という信念のもと、愛犬も飼主さんも楽しく暮らせるようにお手伝いします♪

  1. 【第11回レッスン】意外と知らない合図の基礎

  2. 【第9回レッスン】愛犬と暮らす最適な環境

  3. 【第7回レッスン】しつけのウソ・ホント

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