犬は好奇心が旺盛で活発な動物です。アグレッシブに行動した日には疲れをみせることもあるでしょう。しかし、犬の疲労の原因は肉体的なものだけではありません。
この記事では「犬は疲れたらどうなる?」「疲れている原因が知りたい」と感じる飼い主さんのために、犬が疲れたときの症状や原因、気をつけなければならないケースをご紹介します。
(2026年9月更新)今回の更新では、暑さ・残暑による疲労と加齢によるものという2つの原因を新たに追加し、環境省が公開しているペットの熱中症予防の呼びかけ内容を反映しました。あわせて、「ただの疲れ」と見分けたい病気のサインと受診の目安チェックリスト、よくある質問(FAQ)を追加しています。
犬が疲れたときにみせる症状
散歩やお出かけの後は犬が疲れることがあります。ときにはリビングで静かにしているときにも疲れた表情をみせることがあるでしょう。犬も疲労を感じると人間と同様に表情や行動に表れるのです。
表情がとぼしい
顔がうつむき目が伏し目がちになります。楽しいときは明るい表情をしますが、疲れると顔の輝きを失い入眠することもあります。
歩き方に違和感がある
犬は通常、四足歩行で「右後ろ足、右前足、左後ろ足、左前足…」という順番を繰り返しながら歩きます。
しかし、疲れを感じると歩行が変則的になるケースがあるでしょう。体のバランスが取れない、体が傾いている、速度がスローになる、など歩き方に異常がみられます。
ただし、特定の足をかばう・引きずるといった左右差のある歩き方は、疲れではなくケガや関節・神経のトラブルが原因のこともあります。休んでも歩き方が元に戻らないときは、犬が足を引きずる原因|前足・後ろ足別の見分け方と受診目安もあわせて確認し、早めに動物病院へ相談してください。
散歩中に動かなくなる
いつもは大好きな散歩コースの途中で座り込むことがあります。止まったまま遠くの方を眺めることや体を伏せることもあるでしょう。散歩中に家に引き返そうとする場合や、飼い主さんの目をじっと見つめて疲れた合図を送ってくることもあります。
散歩そのものを嫌がるようになった場合は、暑さや足元の熱さ、あるいは体の痛みが理由になっていることもあります。くわしくは犬が散歩を嫌がる原因|夏の暑さと病気サインの見分け方で解説しています。
呼吸が荒い・ハアハアが止まらない(2026年9月更新)
運動のあとに口を開けてハアハアする(パンティング)のは、犬が体温を下げるための自然な行動です。しかし、休ませても呼吸が落ち着かない、涼しい場所にいるのに息が荒い、少し動いただけで息切れするといった場合は、単なる疲れではなく呼吸器や心臓のトラブル、あるいは熱中症の可能性があります。犬が口呼吸する原因|熱中症など危険なサインと対処法もあわせてご覧ください。
犬の疲れの原因とは?病気が隠れている可能性も
愛犬が疲れていると心配になります。しかし、犬にとって疲労が良いパターンもあるのです。反対に飼い主さんが気をつけるべきケースもあるため注意が必要です。
肉体的な疲労
体力の消耗で疲れるケースです。散歩やドッグランなどで強度の運動をした後は力を使いすぎて疲れることがあります。休憩して体力が回復する程度の疲労は、心の安定に繋がることもあるため、さほど神経質になる必要はありません。
緊張からくる疲労
病院やペットショップでのケアなど慣れない場所で疲れることがあります。緊張によるストレスで疲労を感じるのです。
暑さ・湿度による疲労(残暑の時期は特に注意)
気温や湿度が高い時期は、いつもと同じ運動量でも体力の消耗が大きくなります。環境省は飼い主向けに「防ごう!ペットの熱中症」のポスターを公開し、犬や猫は密な毛におおわれていて体温調整が得意ではなく、人に比べて体高が低いため地面からの熱を受けやすいと注意を呼びかけています。
環境省が挙げている具体的な注意点は次のとおりです。
- 夏の日中の散歩や外出は熱中症や肉球のやけどの危険があるため、散歩は早朝や夜など涼しい時間帯に行う
- 屋外につなぐ場合は直射日光を避け、日陰があり風通しのよい場所を選び、十分な水を用意する
- 室内でも適切な温度・湿度管理をし、ペットが自分で快適な場所へ移動できる環境を整える
- 冷房の効いていない車内はわずかな時間でも非常に高温になるため、短時間でも車内に残さない
9月に入っても日中の暑さが残る年は少なくありません。「もう秋だから大丈夫」と油断せず、暑さが引くまでは夏と同じ対策を続けるのが安心です。夜間でも条件によっては熱中症のリスクがあります(犬は夜でも熱中症になる|夜散歩が危険な3条件とWBGTの見方)。ぐったりする、よだれが多い、ふらつくなど熱中症を疑うサインについては犬の熱射病とは|熱中症との違いと命に関わる危険なサインで解説しています。
加齢によるもの
犬は一般に7歳前後からシニア期に入るとされ、体力や活動量が少しずつ落ち、休んでいる時間が長くなっていきます。これ自体は自然な変化です。ただし注意したいのは、加齢による変化は「ゆるやかに」進むのが普通だという点です。ここ数週間で急に散歩の距離が短くなった、階段を上らなくなった、帰宅時に出迎えに来なくなったといった短期間での変化は、「年のせい」で片づけず一度動物病院で相談することをおすすめします。
病気が潜んでいる
貧血や感染症などの病気が原因で慢性的な疲労を感じているケースがあります。重篤な病気の可能性もあるため注意が必要です。
「疲れやすい」「元気がない」という様子の裏に隠れていることがある代表的なものとして、次のようなものが挙げられます。いずれも飼い主さんが見た目だけで判断することはできません。該当しそうだと感じたら、自己判断で様子を見続けず動物病院にご相談ください。
- 心臓の病気…運動を嫌がる、すぐ息切れする、咳が出る、といったサインを伴うことがあります。小型犬やシニア犬で多い僧帽弁閉鎖不全症もそのひとつです。
- 貧血…体に酸素が行き渡らず、強い元気消失や疲れやすさが出ます。歯ぐきや舌が白っぽく見えることがあります。
- ホルモンの病気(甲状腺機能低下症など)…代謝が落ちることで、動きたがらない、太りやすい、毛づやが悪くなる、といった変化が現れることがあります。
- 関節や骨のトラブル…痛みがあるために動かなくなり、「疲れている」ように見えることがあります。
- 呼吸器の病気・感染症…咳や鼻水を伴う場合は犬の風邪(ケンネルコフ)や犬の咳が止まらない原因もあわせてご覧ください。
動物病院では、血液検査で貧血や炎症、内臓・ホルモンの状態を確認したり、レントゲンや超音波検査で心臓や臓器の様子を調べたりします。原因がはっきりしないまま様子を見るより、早めに検査を受けたほうが選べる対応の幅が広がります。
犬の疲労を回復させる方法とは!?
愛犬が疲労のサインをみせたとき、どのような対応をすれば良いのでしょうか?飼い主さんがすぐにできる方法を解説します。
ストレスを軽減する
自宅で疲れのサインをみせたときは緊張などからストレスを感じているのかもしれません。環境の変化などで精神的な負担にかけないように注意しましょう。自宅へ訪問者を招く際も配慮する必要があります。
激しい運動を控える
外出中に疲れをみせたときは無理に歩かせることは控えて休ませてあげましょう。早めに自宅に連れて帰ることが大切です。夏は暑さが原因で疲労する可能性もあるため、水分補給や冷却グッズの持参をおすすめします。
年齢に適した対応
犬が高齢の場合は年相応の対応が求められます。病気が潜んでいることがあるためです。症状が続く場合は、動物病院で診察してもらうなど、迅速に対処しましょう。
こんなときは受診を|チェックリスト(2026年9月更新)
次のような様子がひとつでも当てはまるときは、「疲れているだけ」と考えず、かかりつけの動物病院にご相談ください。
- 十分に休ませても、翌日になっても元気が戻らない
- ごはんや水をとらない状態が続いている(犬の食欲がない|原因と受診すべきサイン)
- 安静にしているのに呼吸が荒い、息切れがある
- 歯ぐきや舌が白っぽい、または青紫っぽい
- ふらつく、立ち上がれない、倒れた
- 嘔吐・下痢を繰り返している、脱水が疑われる(犬の脱水症状チェック)
- ここ数週間〜数か月で、散歩の距離やスピードが明らかに落ちた
- 咳を伴う、体が熱い、震えている
特にぐったりして反応が鈍い、呼吸が苦しそう、けいれんしているといった様子は緊急性が高い状態です。夜間や休診日でも、迷わず救急対応をしている動物病院に連絡してください。
犬の疲れについてよくある質問
Q. 犬が「疲れているだけ」か「病気」かは、どう見分ければいいですか?
A. いちばんの手がかりは「休んだあとに回復するかどうか」です。運動や外出による疲れであれば、しっかり休息をとれば翌日にはいつもの様子に戻るのが一般的です。休んでも戻らない、日ごとに悪くなる、他の症状(咳・食欲不振・呼吸の荒さなど)を伴う場合は、病気の可能性を考えて受診してください。
Q. シニア犬が寝てばかりですが、年のせいでしょうか?
A. 加齢とともに睡眠時間が長くなるのは自然なことです。ただし加齢による変化はゆるやかに進むのが通常で、短期間で急に変わった場合は年齢以外の理由を疑ったほうがよいとされています。「年のせい」と決めつけず、定期的な健康診断とあわせて獣医師に相談しましょう。
Q. 散歩の途中で座り込んだら、抱っこして帰っていいですか?
A. 無理に歩かせるより、抱えられる大きさであれば抱っこして帰るほうが安全です。特に暑い時期は、日陰や涼しい場所へ移動し、水を飲めるようにしてあげてください。抱っこが難しい大型犬の場合は、涼しい場所で休ませながら、必要に応じて車で迎えに来てもらうなどの対応を検討しましょう。
Q. 疲れているとき、人用の栄養ドリンクやサプリを与えてもいいですか?
A. 人用の製品を自己判断で与えるのはやめてください。犬にとって有害な成分が含まれていることがあります。サプリメントを検討する場合も、まずはかかりつけの獣医師に相談し、その子の体重や体調に合ったものを選びましょう。
Q. 9月でも熱中症に気をつけたほうがいいですか?
A. はい。日中の気温が高い日が続く年は、9月以降も熱中症のリスクがあります。環境省も、日中の散歩や外出、直射日光の当たる屋外での係留、高温の室内での留守番など危険な状況を避けるよう呼びかけています。暑さが落ち着くまでは、夏と同じ対策を続けるのが安心です。
まとめ
この記事では、犬が疲労を感じる原因や対処方法などをご紹介しました。ペットは家族の一員です。もしも、愛犬が疲れのサインや合図をみせたら、パートナーとして適切な対応に努めましょう。
- 犬の疲労には体力の消耗や緊張によるストレス・病気などが原因と考えられる
- 疲労の合図やサインを見逃さず正しく対処する
- 犬が外出中に疲れをみせたら激しい行動は避けて休憩させる
- 病気の可能性がある場合は早めに動物病院で診察してもらう
参考・出典
- 環境省「『防ごう!ペットの熱中症』ペットの熱中症予防に関するポスターの作成について」(2025年6月20日 報道発表)https://www.env.go.jp/press/press_05067.html
- 環境省「動物の愛護と適切な管理」https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/index.html
- 環境省 熱中症予防情報サイト(暑さ指数WBGT・熱中症警戒アラート)https://www.wbgt.env.go.jp/alert.php
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療方針を示すものではありません。愛犬の症状が続く場合や気になる変化があるときは、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。最終更新日:2026年9月4日

