シーズーの性格・特徴・飼い方|「頑固」の正体と目・皮膚のケア・かかりやすい病気

長い被毛が特徴的なシーズー

「シーズーはおとなしくて飼いやすい」と聞く一方で、「頑固」「散歩中に動かなくなる」という声も耳にしませんか。どちらが本当なのか、迎える前に知っておきたいところです。

結論から言うと、どちらも正しいです。シーズーは興奮しにくく穏やかな犬種ですが、自己主張がはっきりしており、怖がりな一面も持ちます。さらに長い被毛と大きな目、垂れ耳という体の特徴から、目・皮膚・耳のトラブルが起きやすい犬種でもあります。

この記事では、シーズーの基本情報から性格の実像、毎日の飼い方、かかりやすい病気と受診の目安まで、数値と出典つきで解説します。

長い被毛が特徴的なシーズー
目次

シーズーの基本情報|体重4.5〜8.1kg・平均寿命13.8歳

まずはシーズーの体格やデータを整理します。数字を押さえておくと、フード量や用品選びで迷いません。

原産国中国(チベット)/管理国イギリス
グループ9G(愛玩犬)
体高27cm以下(理想は26〜27cm)
体重4.5〜8.1kg(理想は4.5〜7.3kg)
被毛長毛のダブルコート。抜け毛は少なめ
毛色あらゆる色が認められる。白×金、白×黒が多い
平均寿命13.8歳
子犬の価格相場おおむね20万〜30万円
登録頭数年間7,930頭・犬種別9位
出典:一般社団法人ジャパンケネルクラブ「世界の犬(シー・ズー)」「犬種別犬籍登録頭数」、アニコム損害保険「アニコム家庭どうぶつ白書」

名前の意味は「獅子」。チベット生まれの短頭種

シーズー(Shih Tzu)は中国語で「獅子」を意味します。ペキニーズとラサ・アプソの交配から生まれたとされる犬種です。

原産地のチベットは標高が高く、涼しい地域です。そのためシーズーは暑さに弱い傾向があります。加えてマズル(鼻先)が短い「短頭種」に分類されます。

短頭種は気道が狭く、体温を下げる効率が悪い犬種です。日本の夏では、この2つの特徴が熱中症リスクとして重なります。夏の管理は本記事の「飼い方」で詳しく触れます。

いまも人気上位。ただしピーク時より頭数は減少

ジャパンケネルクラブの犬種別犬籍登録頭数によると、シー・ズーの登録は年間7,930頭で第9位です。1999年前後には第2位だった時期もあり、長く日本人に親しまれてきた犬種といえます。

ペットショップやブリーダーで出会いやすく、保護犬としてシーズーが譲渡されるケースもあります。

シーズーの性格|穏やかでマイペース。「頑固」の正体とは

リボンをつけたシーズーの子犬

①興奮しにくく、吠え・噛みつきのトラブルは比較的少ない

シーズーは動きがゆっくりで、落ち着いた個体が多い犬種です。犬の行動特性を評価する国際的な調査票「C-BARQ」でも、シーズーは興奮性のスコアが低いことが知られています。

見知らぬ人・見知らぬ犬への攻撃性も、小型犬のなかでは高くありません。来客や散歩ですれ違う犬に激しく吠え続ける、という悩みは起きにくいでしょう。

吠え声そのものも、ミニチュアダックスフンドなどに比べると大きくありません。集合住宅で飼いやすい犬種とされる理由です。

②「頑固」の正体は自己主張と怖がりな一面

一方でシーズーは、C-BARQにおいて「非社会的恐怖」「見知らぬ犬への恐怖」のスコアがやや高い犬種です。つまり、攻撃には転じにくいものの、内心では怖がっていることが少なくありません。

これが行動として表れるのが、次のような場面です。

  • 散歩の途中で足を止めて動かなくなる
  • ブラッシングや爪切りを嫌がって逃げる
  • 掃除機・インターホン・バイクの音に固まる
  • 抱っこしようとすると身をよじる

これらは「わがまま」ではなく、恐怖と自己主張の表れです。叱っても改善せず、むしろ嫌悪感が強まります。子犬期から「音」「物」「触られること」に少しずつ慣らすことが最も効果的です。

③べったり甘えん坊とは限らない

おとなしい犬種なので「膝の上でずっと甘えてくれる」と期待されがちです。しかしシーズーは、飼い主への愛着行動や注目を求める行動のスコアが高くありません。

ひとりで静かに過ごす時間を好む個体も多くいます。犬が求めていないときの過剰なスキンシップは、嫌がって噛む原因になります。

近づいてきたときにかまう、離れたら追いかけない。この距離感がシーズーとの関係を安定させます。

④性別・毛色による性格差はどこまであるか

犬は一般にメスのほうが縄張り意識が弱く、活発さもやや控えめです。ただし個体差のほうが大きく、「メスだからおとなしい」とは言い切れません。

毛色と性格の関連は報告されていません。シーズーはジャパンケネルクラブの犬種標準で「あらゆる色が許容される」とされ、色のバリエーションが非常に多い犬種です。「黒いシーズーは活発」「白いシーズーはおとなしい」といった俗説に根拠はありません。

シーズーの飼い方|押さえるべき6つのポイント

芝生の上を歩くシーズー

①散歩は1日2回×15〜30分。夏は時間帯を厳守する

シーズーの散歩量の目安は、1回15〜30分を1日2回です。運動欲求はそれほど高くありませんが、筋力維持と肥満予防のために毎日出かけましょう。

問題は夏です。短頭種で暑さに弱いため、日中の散歩は避けてください。判断基準は次のとおりです。

  • アスファルトに手の甲を5秒当てて熱ければ中止(体高27cm以下のシーズーは地面の輻射熱をまともに受けます)
  • 気温28℃以上・暑さ指数(WBGT)28以上は原則屋内で運動
  • 散歩は日の出前後、または日没後2時間以上経ってから

短頭種の夏の管理は、フレンチブルドッグの飼い方|短頭種の夏の管理基準とかかりやすい病気で詳しく解説しています。考え方はシーズーにもそのまま当てはまります。

②ブラッシングは毎日、トリミングは月1回

シーズーの被毛は長毛のダブルコートです。細く絡まりやすいため、毛玉ができると皮膚が引っ張られ、蒸れて皮膚炎の温床になります。

  • ブラッシング:毎日。スリッカーブラシ+コームで根元まで通す
  • トリミング:1か月に1回程度
  • シャンプー:2〜4週間に1回が目安(皮膚の状態で調整)

抜け毛の量は毛量のわりに少なめですが、抜けないわけではありません。ブラッシングを省略できる犬種ではない点に注意してください。

③目のまわりを毎日チェックする

シーズーは眼球が大きく前に出ており、まぶたが眼球を完全には守りにくい構造です。さらに顔まわりの毛が長いため、毛やまつげが角膜に触れやすくなります。

毎日、次の3点を確認しましょう。

  1. 目やにの色と量(緑・黄色は感染の可能性)
  2. 白目の充血
  3. 目を細める・前足でこするしぐさ

目やにの色ごとの判断は、犬の目やに|色別(白・黄・緑・茶)の原因と病気のサイン・受診目安にまとめています。

④垂れ耳は蒸れやすい。週1回の耳チェックを習慣に

シーズーは大きな垂れ耳で、耳の中の毛も多い犬種です。耳道が塞がれて通気が悪くなり、湿度の高い時期は外耳炎が起きやすくなります。

週に1回、耳をめくって次を確認してください。

  • 甘酸っぱい・カビ臭いにおいがしないか
  • 茶色〜黒色のベタついた耳垢が増えていないか
  • 頭を振る・後ろ足で耳をかく回数が増えていないか

綿棒で耳の奥を掃除するのは逆効果です。汚れを押し込み、耳道を傷つけます。詳しくは犬の外耳炎|梅雨・夏に増える原因と症状・自宅ケアと受診の目安をご覧ください。

⑤太りやすい犬種。体重は月1回はかる

シーズーは運動量が多くないうえ、食欲は旺盛な個体が多く、肥満になりやすい犬種です。肥満は椎間板ヘルニア・膝蓋骨脱臼・呼吸負担のすべてを悪化させます。

環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」では、給与量はフードの表示量を目安にしつつ、体型(ボディ・コンディション・スコア)を見て調整することが推奨されています。

家庭でできる判定はシンプルです。

  • 背中側から見て、腰にくびれがある
  • 横から見て、おなかが後ろ上がりに引き締まっている
  • 軽く触ると肋骨が1本ずつ分かる

3つとも当てはまれば適正体型です。肋骨が触れにくい場合は、おやつを1日の総カロリーの10%以内に抑えてください。体重は月1回、同じ体重計で測って記録しましょう。適正体重から10%以上増えたら要注意です。

⑥室温は26〜28℃、湿度は50〜60%を目安に

短頭種は「パンティング(浅く速い呼吸)」による放熱効率が低く、室内でも熱中症になります。夏はエアコンを24時間つけたままにしてください。

湿度が高いとパンティングによる気化熱の放散が働かないため、除湿もあわせて行います。留守番中の停電やエアコン停止に備え、風通しのよい避難場所を確保しておくと安心です。

熱中症の初期サインと応急処置は、犬の熱中症|症状・応急処置・予防を解説で確認できます。

シーズーがかかりやすい病気5つと受診の目安

被毛のお手入れが必要なシーズー

アニコム損害保険の調査では、シーズーの年間平均診療費は約107,755円で、全犬種平均の約70,683円を4万円近く上回っています。医療費がかかりやすい犬種と理解して準備しておきましょう。

病気主なサイン受診の目安
角膜潰瘍・結膜炎目を細める、涙が急に増える、白目の充血当日〜24時間以内
脂漏症・マラセチア皮膚炎ベタつき、フケ、独特のにおい、かゆみ1週間続けば受診
外耳炎耳のにおい、黒い耳垢、頭を振る2〜3日続けば受診
椎間板ヘルニア抱き上げると鳴く、段差を嫌がる、足を引きずる当日(麻痺があれば緊急)
熱中症・呼吸困難ゼーゼー鳴る、舌が紫、よだれが止まらないただちに救急

①目の病気|シーズーで最も多いトラブル

結膜炎、角膜炎・角膜潰瘍、流涙症(涙やけ)、ドライアイ(乾性角結膜炎)、緑内障などが挙げられます。異所性睫毛(本来生えない位置から生えるまつげ)が角膜を傷つけるケースもあります。

角膜の傷は進行が速く、放置すると角膜穿孔(穴が開く状態)に至ることがあります。目を細める・涙が急に増えた場合は、翌日を待たずに受診してください。

涙やけの原因と日常ケアは、同じく涙やけの多い犬種を扱ったマルチーズの性格・特徴・飼い方|涙やけの原因と対策も参考になります。

②皮膚の病気|脂漏症とマラセチア皮膚炎

シーズーは皮脂の分泌が多く、被毛に覆われて蒸れやすい体質です。皮膚がベタつき、フケとかゆみが出る脂漏症が代表的です。

皮脂を栄養源とするマラセチア(酵母様真菌)が増えると、独特の甘い体臭と赤み、かゆみが加わります。脇・内股・指の間・耳の中など、蒸れやすい部位から始まるのが典型です。

薬用シャンプーによる管理が中心になりますが、市販シャンプーで自己流に洗い続けると悪化することもあります。かゆみが1週間続く場合は皮膚科的な診察を受けましょう。詳細は犬の梅雨の皮膚トラブル|膿皮症・マラセチアの症状とケアで解説しています。

③外耳炎|垂れ耳+高湿度で再発しやすい

垂れ耳で耳道内の毛が多いシーズーは、外耳炎が起こりやすく再発しやすい犬種です。慢性化すると耳道の皮膚が厚くなり、点耳薬が効きにくくなります。

においや黒い耳垢に気づいたら、2〜3日様子を見て改善しなければ受診してください。「毎年夏に繰り返す」パターンの場合は、アレルギーが背景にある可能性があります。

④椎間板ヘルニア・膝蓋骨脱臼|胴長・短足がリスク

シーズーは体高より体長のほうが長い体型で、椎間板ヘルニアを発症しやすい犬種です。膝のお皿がずれる膝蓋骨脱臼(パテラ)も多く見られます。

予防の柱は次の3つです。

  1. フローリングに滑り止めマットを敷く
  2. ソファやベッドからの飛び降りをさせない(ステップを置く)
  3. 適正体重を維持する

後ろ足を引きずる、立ち上がれない、排尿ができないといった症状が出たら、時間が経つほど回復率が下がります。当日中に受診してください。

⑤熱中症・短頭種気道症候群|命に直結する

短頭種は鼻腔が狭く、軟口蓋が長い個体が多いため、呼吸で熱を逃がす能力が低い犬種です。興奮しただけでゼーゼーと鳴る、いびきが大きい場合は気道の狭さが疑われます。

舌や歯ぐきが紫〜青灰色になる(チアノーゼ)、よだれを大量に流す、立てなくなるといった状態は救急です。体を冷やしながら、その場で動物病院に連絡してください。

シーズーを迎える前に確認したい3つのこと

①初期費用と毎月の固定費

子犬の生体価格はおおむね20万〜30万円です。これに加えて、次の費用がかかります。

畜犬登録(1回のみ)3,000円前後
狂犬病予防注射(年1回)3,500円前後
混合ワクチン(年1回)5,000〜8,000円前後
トリミング(月1回)6,000〜10,000円前後
年間平均診療費約107,755円

なお狂犬病予防法により、生後91日以上の犬は取得後30日以内に市区町村への登録が、また年1回の狂犬病予防注射が飼い主の義務とされています。

シーズーはトリミングが必須の犬種です。月1万円前後の固定費が続く前提で家計を組みましょう。

②夏のエアコン代を織り込めるか

暑さに弱い犬種なので、6月〜9月はエアコンを常時稼働させる必要があります。留守番中も同様です。「留守のときは切る」という運用はできないと考えてください。

③毎日10分のケア時間を確保できるか

ブラッシング、目のまわりの拭き取り、耳と皮膚のチェック。合計すると毎日10分ほどのケア時間が必要です。

あわせて歯磨きも習慣化したいところです。小型犬は歯周病になりやすく、シーズーも例外ではありません。慣らし方は犬の歯磨きのやり方|6ステップの慣らし方と正しい磨き方・頻度の目安で解説しています。

シーズーに関するよくある質問

Q1. シーズーは初心者でも飼いやすいですか?

性格面では飼いやすい犬種です。興奮しにくく、吠えや噛みつきの深刻な悩みは比較的少なめです。

ただしケア面のハードルは高めです。毎日のブラッシング、月1回のトリミング、目・耳・皮膚の日常チェックが前提になります。「手をかけられる初心者」に向いた犬種と考えてください。

Q2. シーズーの寿命はどのくらいですか?

アニコム損害保険の家庭どうぶつ白書によると、シーズーの平均寿命は13.8歳です。小型犬のなかでは特別に長寿というわけではありません。

目・皮膚・耳の慢性疾患をこまめに管理し、適正体重を保つことが長生きにつながります。健康な個体では18〜20歳近くまで生きるケースもあります。

Q3. シーズーは抜け毛が少ないと聞きましたが本当ですか?

毛量のわりに抜け毛は少ない犬種です。ただし「抜けない」わけではありません。

むしろ抜けた毛が長い被毛にからまって残るため、ブラッシングを怠ると毛玉になります。抜け毛が少ない=手入れが楽、ではない点に注意してください。

Q4. 散歩中に動かなくなります。どうすればいいですか?

まず身体的な原因を除外します。夏なら暑さ、肉球のやけど、関節や腰の痛みが考えられます。同じ場所で毎回止まるのではなく、どこでも急に止まるようになった場合は受診しましょう。

身体面に問題がなければ、恐怖が原因のことが多いです。抱き上げて先に進めるのではなく、怖がる対象から距離を取り、落ち着いたらおやつを与えて距離を少しずつ縮めます。引っ張って前進させるのは逆効果です。

Q5. 涙やけがひどいのですが、フードを変えれば治りますか?

フードだけで解決するとは限りません。涙やけ(流涙症)の原因には、鼻涙管の閉塞・狭窄、逆さまつげによる刺激、結膜炎やアレルギーなどがあります。

まず動物病院で原因を特定してください。そのうえで、目のまわりを毎日ぬるま湯で湿らせたガーゼで拭き、清潔と乾燥を保つケアを続けます。

Q6. 夏でもサマーカットで短くすれば涼しくなりますか?

短くすると通気はよくなり、蒸れによる皮膚トラブルは減らせます。一方で、地肌が露出すると直射日光による日焼けのリスクが上がります。

バリカンで刈り上げるのではなく、5mm程度の毛を残すカットが無難です。いずれにせよ、被毛を短くしても短頭種の呼吸による放熱能力は変わりません。室温管理が最優先である点は変わりません。

まとめ|シーズーは「穏やか、でも手はかかる」犬種

シーズーは興奮しにくく、家の中で穏やかに過ごせる犬種です。吠えや攻撃性の悩みは比較的少なく、集合住宅にも向いています。

一方で、怖がりで自己主張がはっきりしており、無理強いは通用しません。そして目・皮膚・耳という3つの弱点があり、年間診療費は全犬種平均を4万円近く上回ります。

毎日10分のケア時間と、夏のエアコン代、月1回のトリミング費用。この3つを無理なく続けられるなら、シーズーはとても暮らしやすいパートナーになります。

迎えたその日から、体重・目やに・耳のにおいを記録する習慣をつけておくと、異変に早く気づけます。

参考・出典

・一般社団法人ジャパンケネルクラブ「世界の犬(シー・ズー)」/「犬種別犬籍登録頭数」
・アニコム損害保険株式会社「アニコム家庭どうぶつ白書」(平均寿命・年間診療費)
・環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~」
・厚生労働省「狂犬病予防法に基づく犬の登録と予防注射」
・University of Pennsylvania「C-BARQ(犬の行動評価質問票)」

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、獣医師による診断・治療の代替となるものではありません。愛犬の体調に異変を感じた場合は、速やかにかかりつけの獣医師にご相談ください。

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