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しつけ

【第15回レッスン】【人・他犬への社会化】手順とポイント解説

社会化の重要性をお伝えした前回に引き続き、今回は人や他犬に対しての社会化手順やポイントをお伝えしていきます。

うまく社会化するためにはすでにお伝えしたワンちゃんの学習の仕組み」「ごほうび」「愛犬の性格」「しつけの難易度などの理解が不可欠です。まだ読んでいない方は過去記事も合わせてお読みください。

社会化の基本

社会化は初めて経験することに慣らして好きになってもらうことですが、飼い主さんが愛犬を迎える頃にはいろいろなことを経験済みで、ある程度好き嫌いができていることが多いです。多少だったらご自身で社会化できますが恐怖心が強いビビリな子や、好きすぎて過度に興奮するような子は専門家へ相談・指導してもらうことをおすすめします。

社会化の基本
🔶 愛犬がその対象を現時点でどのくらい好き・嫌いかを知る
好き嫌いの度合いによってやり方が変わってくるので愛犬のことを把握していないと始まりません。


🔶 難易度が低い状況から始め、慣れてから徐々に難易度を上げステップアップ
🔶 好きな物と合わせて経験させることで「嫌い寄り普通好き寄り ⏩ 好き」になってもらう
難易度も好き嫌いも徐々にステップアップが基本です。難しい状況でやると失敗する可能性が高いだけでなく、嫌いになってもっと時間をかけて治さないといけなくなります。嫌いから好きになるのは時間がかかるけど一瞬で嫌いになることはあるんです

🔶 事前に手順を頭に入れて、うまくいかなかった場合の対応も考えておく
うまくいっていないのに続けても傷が広がるだけなのでスパッとやめるのが一番です。どこがいけなかったのかを考え修正して、飼い主さんも愛犬も落ち着いてから再開しましょう。慣れてくるとどんな失敗をしそうか予想もできるので、事前に修正方法を考えておけば続けながらうまく対応できるようになります。

今回は人と他犬への社会化手順をお伝えしていきますが人への社会化を先にしてください。人への社会化は、飼い主さんのお知り合いと協力したりと比較的容易であり、反対に他犬に協力を仰ぐことは難しいためです。まずは、人への社会化で、飼い主さんも愛犬さんもコツを覚え、他犬への社会化をするほがスムーズに進むはずです。

ポイント

うまくいかなかった時の対応まで考えておく
人への社会化が先
✅ 好きになるのは時間がかかるけど一瞬で嫌いになることはある

人への社会化

まずは難易度の低い自宅リビングなどで、知り合いに頼んで手順を説明して協力してもらうことが一番簡単な方法です。いきなり屋外で何も知らない他人に対して社会化するのは難易度が高く飼い主さんのスキルが必要です。

1️⃣ 愛犬から近づく

こちらは、人のことが嫌いな傾向が多少あるワンちゃんに適した方法です。ノーリードで愛犬が人に近づいていくように飼い主さんがオヤツなどでサポートします。噛みつく可能性がある場合など、必要であればリードをつけても構いません。特に難しいことはなく理屈も簡単で、人に近づくほどオヤツが食べられることで「人=オヤツ」と関連付けて覚え好きになっていきます。

理屈は簡単でも成功するためのポイントがあるので解説していきましょう。

【 協力者へのお願い】
人は極力動かないほうが愛犬は近づきやすいです。人が好きな場合は、人が動いてしまうと興奮しやすくなり、反対に人が嫌いな場合は、人への恐怖心が強くなってしまいます。

また、立っているより座って横を向いているほうがプレッシャーが少なく近づきやすくなります。よくお散歩中にワンちゃん好きな人が「かわいい~♪」と正面から近づいてナデたりしますが、人にあまり良いイメージがないワンちゃんにとっては恐怖が先行します。小型犬から見た人間ってとっても大きいんです。自分に置き換えてみて、身長5mくらいの知らない人が何か叫びながらドシドシ近づいてきたら怖くありませんか?それと同じことなんです。

そのため、人は座って低い姿勢でじっとしているようにしてください。慣れるまでは声も出さないほうが良いです。楽しそうに声かけをする方がワンちゃんも気分が乗り近づいてくれるかもしれませんが、興奮しすぎるワンちゃんもいるのでそれは愛犬の様子を見ながら対応を変えてみてください。

【 愛犬の現状を理解する 】
愛犬が人に対してどういうイメージを持っているのかは、座っている人に対してどうするかでだいたいわかります。

🔶 喜んで近づく  好き
🔶 ゆっくり近づく  好き寄り・好奇心
🔶 反応しない  普通・興味なし
🔶 距離を取る・近づかない  嫌い寄り・警戒心
🔶 逃げる・吠える  嫌い・攻撃的(専門家への相談推奨)

現状によってやり方やごほうびが変わってきます。人が好きなら 2️⃣ の「人から近づく」のほうが適しているのでそちらを試してください。

【 ごほうびの使い方 】
愛犬が多少でも自分から近づいていくのでしたら、座っている人の手のひらの上にオヤツを置いて待ちましょう。近づかなかったり反応しなかったりするようでしたら、飼い主さんがオヤツで誘導して近づけていきます。もちろんリードを引っ張って無理やり近づけたりするのはNGで愛犬が自分で近づくようにします。飼い主さんが間に入ることで愛犬は安心感があるのでより近づく可能性が高くなります。

【 難易度 】
この場合は「場所」と「距離」が難易度に関係します。場所はリビングで慣れたら屋内の別の場所で、そのあと屋外の慣れている場所から社会化していきます。距離は愛犬が自分で調整するので飼い主さんが考える必要はありません。ごほうびを使ってどうやったら近づいてくれるかに集中できるのがこの方法の良いところです。

画像に引いてある赤いラインはワンちゃんのパーソナルスペースのラインです。好きならともかく、警戒心や嫌なイメージがあるなら一定の距離以上は近づこうとはせず、近づかれるのを嫌がります。パーソナルスペースを狭める・無くすのが社会化の目的だと思ってください。

愛犬から近づけるようになったら 2️⃣ をやってみましょう。

2️⃣ 人から近づく

同じように思えても愛犬から近づくのと人が近づいてくるのでは難易度に差が出ます。愛犬の意思に関係なく近寄ってくるというのは慣れていなければ恐怖心が出てしまい、飼い主さんや協力者が愛犬の様子を見て距離(難易度)を調節する必要があるので 1️⃣ よりも難易度は高めです。

この方法は愛犬が人を好きか嫌いかでやり方が変わるので、それぞれの手順とポイントを説明します。

【 人が好きな場合 】
人が好きであれば社会化は必要ありませんが、興奮しすぎて困っている場合は社会化してあげたほうがいいでしょう。

人好きワンちゃんの場合はごほうびにオヤツを使いません。人にナデてもらったり遊んでもらうのがごほうびになるのです。逆にオヤツをあげると余計興奮してしまう可能性もあるので使わないほうがいいこともあります。

愛犬にはリードをつけておき協力者にゆっくり近づいてきてもらいます。飼い主さんの判断で、愛犬が興奮しすぎるなど、好ましくない状態と思ったら近づくのをやめてもらいます。ただ止まるだけじゃなく、反転して背中を見せたり遠ざかることが罰になるので「興奮しすぎはダメ」と愛犬に伝わりやすくなります。

落ち着いたら近づく、興奮したら止まる(遠ざかる)を繰り返し、好ましい状態であれば遊んでもらいます。人だけではなく、ごはんやお散歩など興奮することで同じ対応をすると興奮しにくくなっていくのでぜひやってみてください。

【 人が好き寄り~嫌い寄りな場合 】
愛犬はリードをつけて協力者にゆっくり近づいてきてもらうのは同様です。この場合はオヤツを使うので飼い主さんも協力者の方も持っておいてください。オヤツは長時間ナメたりかじったりできるようなものが適しています。

まず、飼い主さんが愛犬にオヤツをかじらせ、その間に協力者の方に近づいてもらいます。すると「これ以上はちょっと。。。」という距離で、愛犬がおやつをかじるのをやめたりといった反応すると思いますので、そこで協力者の方には止まってもらいます。その距離が今の愛犬の限界となります。必要であれば一旦背中を見せたりちょっと遠ざかるようにしてください。

人が近づいてくる場合はオヤツをあげ、愛犬が反応を見せたらオヤツを取り上げる、を繰り返し、徐々に距離を縮めていきます。

これを繰り返すことによって「人が近づくとオヤツを食べられるけど止まったり遠ざかると食べられない」と学習します。そうなれば人が近づくことは愛犬にとって良いことになるので、嫌がることはなくなり、好きになっていきます。

他犬への社会化

基本的なやり方は人への社会化と変わりません。ただ、前述したように他犬は思うように動いてくれないので難易度としてはかなり高いです。できれば専門家への相談がおすすめですが、ご自身でやる場合のポイントをお伝えします。

【 協力者(犬)の条件 】
協力してくれる飼い主さんに慣れているのが前提で、さらにちゃんと愛犬をコントロールできて良い距離を保ってくれないと社会化はうまくいきません。その条件だとけっこうハードルは高いですが、そこまでできなくてもお互いの愛犬が他犬に対して攻撃的でなければ工夫して協力しあえば社会化をすることはできます。

【 社会化手順 】
場所はどちらかの家のリビングがいいでしょう。片方のワンちゃんをリードにつけどこかにつなげて固定します(とします)。もう片方のワンちゃんは飼い主さんがリードを持ちます(とします)。

は「他犬が近づいてくる社会化」では「自分から近づく社会化」になります。この場合、どちらかというとのほうが自分で距離を調節できないので負荷がかかります。なのでの子の様子に合わせながら、の飼い主さんが距離を調節してあげる必要があります。

どちらのワンちゃんも、近づいている時にオヤツをあげ、それ以外ではあげないようにします。自分から近づかない場合はオヤツを使って誘導してください。

近づいていくうちに「何かあったらまずい」との飼い主さんがリードを引いて張らせてしまいがちですがそれは逆効果です。リードが張っていると首にテンションがかかりストレスなのと、飼い主さんの緊張感が伝わり愛犬も緊張してしまいます。ゆったり余裕があるほうが愛犬も心に余裕ができるため、信頼して自主性に任せて見守ってあげましょう。ただし、万が一攻撃的な面が出たらすぐに距離を取って安全を確保することは忘れずに。

近づいて匂いをかぎ始めたらだいたい成功です。距離を取った場合は、興味なしということなので好きにさせてあげてください。

ポイント

✅ 愛犬が対象の好き・嫌い度合いによってやり方が違う
✅ 愛犬を信頼することも大事

人や他犬は普通に生活していて避けることはできない存在です。好きになってくれれば愛犬も楽しく遊べるますし、それを見て飼い主さんも嬉しいですよね。最初は個人を判別して慣れていない人には近づかなかったりしますが、何人かへ社会化することにより「人・他犬は大丈夫・好き」となり初対面でも懐いてくれるようになります

何人くらいでそうなるかは個体差があるので、誰でもウェルカムになるまでがんばってみてください!

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【笑犬】のっぽ

【笑犬】のっぽ

ペット専門学校にて非常勤講師を務め、現在はフリーで「愛犬しつけ方インストラクター」として活動中。『しつけ=コミュニケーション』 という信念のもと、愛犬も飼主さんも楽しく暮らせるようにお手伝いします♪

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