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【第3回レッスン】ワンちゃんの「学習の仕組み」と「伝え方」

ワンちゃんは日々どのように学習しているのか、わかっているようで実は知らない飼い主さんのほうが多いですよね。その学習の仕組みを理解することで ワンちゃんに「伝える=教える」ことができるようになります。

今回はそんな学習の仕組み伝え方についてお伝えしていきます。

学習の仕組み

飼い主さんとの日々の生活で様々なことを学ぶ愛犬。その学習の仕組みは大きく分けて2つあります。

1️⃣「ごほうび」と「罰」による学習

前回お伝えした学習理論ですが、その仕組みはとてもシンプルです。

🔸 ごほうびがもらえる行動は増える
🔸 がある行動は減る

これは説明しなくてもみなさん理解していることだと思います。ここで「ごほうび」と「罰」についてもう少し考えてみましょう。

「ごほうび」というのは良い事で「罰」は嫌な事ですよね。でもそれだけではなく「ごほうびがもらえないこと」も罰になるんです。

例をあげると

  1. 良いことがある
    🔸オヤツがもらえる
    🔸遊んでくれる
  2. 嫌な事がない・なくなる
    🔸叱られなかった
    🔸叱り終わった
    🔸リードの引っ張りが緩んだ
  3. 嫌なことがある
    🔸叱られる
    🔸リードを強く引っ張る
    🔸大きな音でおどかす
  4. 良い事がない・なくなる
    🔸オヤツがもらえなかった
    🔸遊び終わった

ごほうびベースの教え方では①と④を使って教えます。叱るベースでは③と②を使い適時①も使います。これが同じ理論で教え方が違う理由になります。

2️⃣ 関連付けによる学習

もうひとつの学習として関連付けがあります。これも難しいことはなく、いたってシンプルな学習の仕組みです。

まったく無関係なこと(物・音)でも連続で何回も与え続けると関連付けて覚える。という学習ですが、有名な「パブロフの犬」が関連付けによる学習になります。

愛犬の行動で例えると「オテと言っただけで勝手にオカワリまでする」のはまさにそれです。

なぜそうなるのか?それはオテとオカワリを必ず連続で同じ順番でやるから「オテ=オカワリまでする」と覚えるんです。他にも「リードを持つ=お散歩」「フードボール=ごはん」と学習して大騒ぎするワンちゃんもいますね。それも関連付けによる学習です。

この2つの学習の仕組みを理解することが、飼い主さんが愛犬へ望みを伝える、コミュニケーションを取るための方法につながっていきます。

ポイント

✅ 学習の方法はごほうびと罰による学習関連付けによる学習の2種類
✅ 罰は嫌な事があるだけではなく良い事がないのも罰になる

愛犬への伝え方(教え方)

それぞれの学習の仕組みで具体的な例をあげて説明していきます。

1️⃣「ごほうび」と「罰」を使った伝え方

飼い主さんが帰宅して部屋に入ったら愛犬が吠えて大騒ぎ。近所迷惑にもなるし、どうにかして大人しくしてもらいたい場合。

  • なでたり、かまってあげる
  • 「うるさい!」「静かに」など叱ったり声をかける

このような対応をすることが多いですが「その瞬間だけ吠えを止める」のならそれで可能かもしれません。でも「吠えないようにしたい」のならすべて逆効果な対応になります。

ワンちゃん目線で考えると、吠えているのは飼い主さんが帰ってきて嬉しい・かまってほしいからです。そこで望み通りにすると「吠えるとかまってくれる」と学習するので帰宅すると吠えるようになります。

叱るについては前回お伝えしたように「罰」になるほど叱れずにかまってくれているという「ごほうび」にしかならないことが多いので逆効果になります。もし罰になるほど叱れたら吠えはなくなりますが、喜んで飼い主さんに近寄ってくることもなくなるかもしれません。

それでは「吠えないように」伝えるのはどうしたらよいのでしょう。ここで前述した④の罰「良い事がない・なくなる」を使います。よくあるのは「無視」して大人しくなったら遊んであげるという対応方法ですが

無視してるつもりで目線が合っていませんか?
愛犬が飛びついたり触れていませんか?
飼い主さんが声を出していませんか?

どれも愛犬にとってはごほうびですし、もう飼い主さんが見えているだけで嬉しくて「ごほうび」になっているんです。好きな芸能人が目の前に現れて、目線が合ったり触れたら何言われても嬉しいのと同じです。

もっと誰でもできて愛犬にもわかりやすい対応はすぐにリビングから出ること。

  1. 部屋に入ったら吠えた
  2. すぐに部屋から出る(罰)
  3. 大人しくなったら入る
  4. 1~3を繰り返す
  5. 手が届くところまで近づいても吠えなかったら遊んであげる(ごほうび)

2が「大好きな飼い主さんがないなくなった」という罰になるんです。繰り返すことで愛犬は「騒ぐといなくなるぞ?」と気づき吠えもおさまっていきます。
これはあくまでも例で簡略した説明です。愛犬や環境に合った方法で改善するにはプロに相談してください。

とてもシンプルな理屈のごほうびと罰ですが、ちゃんと活用するには「愛犬の今の気持ちを理解して適切なごほうびと罰を使って伝えること」つまりコミュニケーションが必要になります。教えてもうまくいかないという飼い主さんは、罰のつもりがごほうびになっていたりどこかにズレがあるからなんです。

2️⃣ 関連付けによる伝え方

関連付けによる学習は、飼い主さんが意図せずに勝手に愛犬が学習することが多いんです。関連付けをなくすには無意識だったことを意識することで変えていけます。

【オテで勝手にオカワリ】

  • 別々で、またはランダムな順番で教える
  • やってもらう時は順番をランダムにする

この2つを意識すれば改善するはずです。ポイントは2つのことをセットにしたり規則性を持たせないことです。すでに関連付いてる場合は細かい注意点やテクニックが必要なので、ご自身で試したい方は他の合図でオテ・オカワリを教えたほうが早いかもしれません。

【リードを持つとお散歩だと思い大騒ぎする】

大騒ぎするのは「リードを持つとお散歩に行く」という確率がとても高いからで、ほぼ100%の方がほどんどかもしれませんね。関連性をなくすにはその確率を下げてあげればいんです。

1日に数回リードを持って、愛犬が騒ぎ始めたらすぐに元に戻してお散歩に行かない。これを何日か繰り返しすとリードとお散歩の関連性は薄れて騒がなくなっていきます。

ポイント

愛犬の気持ち何がごほうび・罰になるかを理解することが大事
✅ 関連付けをくずすには確率を減らす

それぞれの学習の適した使い方

2つの学習についてお伝えしましたが、それぞれどのようなことを教えるのに適しているかを理解し使うことがとても大事です。

【 ごほうび と 罰 】
何か行動を教えたい時・やめさせたい時に適した方法になります。
・オスワリ、フセを教えたい
・吠え、噛みグセを治したい

【 関連付け 】
主に合図をつける時に使います。座るという行動を教えたあとに「オスワリ」という合図(言葉・音)を関連付けることによって「オスワリ」で座るようになります。

行動を教えるのに適していない理由として、先程お伝えした「リードを持つと騒ぐ」はごほうびと罰を使ったほうがもっと早く改善できるんです。

  1. リードを持つ
  2. 騒いだら元に戻す(お散歩に行けないというになる)
  3. 繰り返して騒がなくなったらお散歩に行く(ごほうび

これならすぐに伝えられて、数日でほとんど騒がなくなるはずです。
「オスワリ・フセなどの行動を教える」「行動に合図をつける」は今後それぞれ別記事でお伝えしていければと思います。

私がレッスンで教えるなら「これはどの学習方法」と説明もしませんし飼い主さんも意識する必要はありませんが、ご自身でやる場合は理解しておいたほうがちゃんと愛犬に伝えられると思います。

ポイント

【ごほうび と 罰】 行動を教える・やめさせる
【関連付け】 合図をつける

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【笑犬】のっぽ

【笑犬】のっぽ

ペット専門学校にて非常勤講師を務め、現在はフリーで「愛犬しつけ方インストラクター」として活動中。『しつけ=コミュニケーション』 という信念のもと、愛犬も飼主さんも楽しく暮らせるようにお手伝いします♪

  1. 【第11回レッスン】意外と知らない合図の基礎

  2. 【第9回レッスン】愛犬と暮らす最適な環境

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