「しつけ」について本を読んだりネットで調べるとたくさんの情報があり、どの教え方が合っているのか?良い方法なのか悩んだことのある飼い主さんも多いはず。
いろいろある中でも、大きく分けると「ほめるベースの教え方 」「叱るベースの教え方」の2つになります。言葉だけ見ると真逆の教え方のようですが、実は根本となっている理論は同じなんです!
今回は
🔶 理論が同じで教え方が違う理由
🔶 どちらで教えたほう良いのか?
についてお伝えしていきます。
叱るベースの教え方
強制訓練・服従訓練と呼ばれることもある方法です。もともとは軍用犬や警察犬などの職業犬に教えるための方法になります。「叱って教える」と言うと毛嫌いしたりマイナスイメージを持つ人もいますが、ちゃんとできた時や望ましい行動には「ほめる」こともします。
つまり「ダメなことはダメ」「良いことは良い」としっかり教えるというのが基本的な考え方で、ダメと伝える時にはリードを引っ張ったり強い口調で叱ったりなどの嫌悪刺激(ワンちゃんが嫌がる事)が用いられることがあります。
ほめるベースの教え方
陽性強化と呼ばれることもある教え方で、基本的に叱ることはせずに「良いこと、望ましいこと」に対してほめる(ごほうびをあげる)ことをベースにしています。わかりやすく言うとほめて伸ばす方法ですね。「ほめるだけで教えられるわけがない」という方もいますが、ほめるだけではなくちゃんと罰も使って教えます。
ほめられる行動をワンちゃんは喜んでするようになります。逆にほめられない、ごほうびがもらえない行動は基本しなくなります。つまり「ごほうびがもらえない」ことが罰になるんです!
詳しくは具体的な例を挙げて次回「学習の仕方」でお伝えします。
✅ 叱るベース
望ましくない行動は叱り、望ましい行動はほめて教える
✅ ほめるベース
望ましい行動をほめて伸ばす。叱ることはせず、ごほうびがもらえないことが罰になる
しつけの根本となる理論
「叱る」「ほめる」教え方についてはそれぞれの中でも違ったり、両方の良いところを使い分ける方もいるなど方法はたくさんあります。しかし、どのやり方でも根本的なところでは学習理論というものを元にしています。
学習理論とはワンちゃんがどのように学習していくかの理論で、前述したようにほめる、叱る方法のどちらも「ごほうび」と「罰」を使って教えているんです。みなさんもよく聞く言葉で言うと「アメとムチ」で、それが学習理論の基本となっています。
叱るベースの罰は「嫌悪刺激」を用いることが多く、ほめるベースでは「ごほうびがない」ことを罰としています。同じ理論を元にしていて教え方が違う理由は、使う「罰の種類」が違うからなんです。
✅ 学習(しつけ方)の基本はごほうび(アメ)と罰(ムチ)
✅ ほめる、叱るで方法が違うのは罰の種類が違うから
「叱る」「ほめる」のどちらが良いのか?
私は「ほめるベース」の方法をお伝えしています。なぜその方法を選びおすすめしているのか。理由を3つお話ししたいと思います。
✅ おすすめする理由1
叱るベースの教え方はお伝えしたとおり軍用・警察犬など職業犬を教える際に使われていた方法です。命や犯罪に関係する性質上、精度を求め厳しく指導することはしょうがなかったかもしれません。動物愛護などの声もある昨今、マイルドになってきているとはいえ強制・服従の色は少なからず残っています。
その方法が家庭犬の教え方として適しているかと考えた時、私は適していないと思い「ほめて伸ばす方法」を選択しました。
✅ おすすめする理由2
叱って教える場合はワンちゃんが「もう叱られたくない」と思うくらいじゃないと罰として成立しません。ほとんどの方は弱すぎて罰として効果がない叱り方をしていると思います。叱って治っていないなら罰になってないということです。
ワンちゃん大好きな飼い主さんが罰になるほど叱るのは難しいというのが「ほめる方法」をおすすめする理由です。
✅ おすすめする理由 3
「愛犬にとってはどちらが良いか」というのはとても大事です。
叱って教えると愛犬は「叱られたくないからやる・やらない」というネガティブな意識も出てきます。
加減を間違えると「叱られるなら下手なことをしないほうがいい」と何もせず消極的になってしまう子もいます。これは学習性無力感といって人間でもある鬱に近い状態です。そんな子になっても、言葉が通じないがゆえに飼い主さんは「おとなしくて良い子になった」と感じてしまうでしょう。それはとても怖いことですよね。
叱られるのが嫌で抵抗して噛みついてくる可能性もあります。叱って教えた結果噛むようになったと相談にくる人も実際います。ワンちゃんは意味なく噛みません。噛むにはそれだけの理由があるということを覚えておいてください。
ほめるベースだと「どうやったらごほうびがもらえるんだろう?」とワンちゃんが考えるようになります。そして自発的・積極的に行動するようになります。
うまくいかなかった場合でもワンちゃんは嫌なことはされず「なんか知らないけどごほうびもらえた♪」くらいに思うから飼い主さんを大好きになるし幸せでしょう。その場合飼い主さんは困るかもしれませんが、叱って失敗して関係が崩れたり噛むようになることはないので、成功するまでがんばればいいんです。
ほめる教え方をおすすめする理由を3つ挙げました。ただ、私は叱って教える方法を全否定しているわけではありません。はっきり言えばしつけのプロがやるなら、どちらの方法で教えてもワンちゃんは良い子になります。叱って教えても適度な強度、タイミング、方法でやるのでワンちゃんの負担も少ないはずです。
最終的に「どちらが良いのか?」は、メリット・デメリットを理解したうえで
・自分はどの方法が合っているか?
・愛犬にとってどれがいいのか?
を考えて選んだ方法が、飼い主さんと愛犬にとって一番良い方法です。
ただ、困った行動が悪化してきていると感じたらすぐにプロに相談することをおすすめします。
✅ メリット・デメリットを理解したうえで飼い主さんがやりたい方法を選ぶ
● どちらが自分に合っているか?
● 愛犬にとってどちらが良いか?
【笑犬】のっぽ さんの詳しいプロフィールはこちらです♪
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