愛犬との朝の散歩、楽しんでいますか?
仕事が忙しくなかなか愛犬との散歩の時間が取れない方は意外と多いでしょう。しかし、朝の散歩には、犬だけでなく人の健康にも大きなメリットがあります。
朝の光を浴びると、セロトニンの分泌が促進されます。セロトニンは別名「しあわせホルモン」。セロトニンがもたらす幸せは人間だけでなく動物にも、心と体の健康をもたらします。
「晴れた空がすがすがしい」「お互いの顔を見てほっとする」
そんな当たり前でかけがえのない幸せ。朝30分だけ早起きして、感じてみませんか?
幸せホルモンは午前中に多く作られる
朝は出かける準備で時間がないので、犬の散歩は夜だけという方は多いでしょう。夜だけでも犬を散歩に連れ出すのは、全く散歩に行かないよりはいいかもしれません。
しかし、セロトニンの幸せ効果で愛犬との絆を深めたいなら、朝の散歩がおすすめです。
セロトニンとは?
セロトニンとは、興奮や苛立ちを抑えて心と体の健康を保ってくれる神経伝達物質で、その作用から「しあわせホルモン」の別名を持っています。
セロトニンは午前中に多く作られます。日差しが陰ってくる頃には分泌されたセロトニンを元に、睡眠を司るホルモンであるメラトニンが作られます。
つまり、昼間にセロトニンが十分に生成されていないとメラトニンも不十分となり、良質な睡眠をとることができなくなるのです。
興味深いことに、神経伝達物質の仕組みは、人間を始め犬や猫などの哺乳類、そしてアメフラシやゾウリムシなどの原始的な生き物にも共通していることが分かっています。
人間も犬も、心と体の健康を保ち良質な睡眠を維持するためには、セロトニンを十分に分泌させることがカギとなります。
セロトニンを分泌させるには?
前述したように、セロトニンが分泌されるのは日が陰るまで。分泌を促進するためには、午前中の活動が重要となります。
セロトニンの分泌を促進する方法は3つ。
- 朝日を浴びること
- リズム運動をすること
- 咀嚼すること
何かに通じると思いませんか?
朝日を浴びながら愛犬との散歩。そして散歩を終えたら朝ご飯。
この習慣は精神科の医師たちにも推奨されています。
散歩の時間は15分から30分程度で十分です。セロトニンはリズム運動開始5分程度から高まり始め、30分前後でピークに。その後は疲労感と反比例して低下していきます。そのため、長時間の散歩やボール投げなどの激しい運動を取り入れる必要はありません。
愛犬と呼吸を合わせ、会話をするようにテンポ良く歩くだけでいいのです。
ストレスが犬にもたらす問題
生きている以上、犬もNOストレスではいられません。人間がストレス過多でうつ病を発症するように、犬もまた過度なストレスにより心のバランスを崩します。
しかし、辛さを言葉で伝えられない彼ら。気づいてもらうために、いろんな方法で私たちにSOSを送っているのです。
ストレスがかかると分泌されるホルモン
ストレス下で分泌が促進されるホルモンと言えば、「コルチゾール」と「ノルアドレナリン」が有名です。どちらも生体維持には欠かせないホルモンで、非常時に大量に分泌させて命の危機を乗り越えます。
しかし、これらのホルモンは、日常的にストレスを受けて慢性的に分泌され続けると、高血圧、高血糖、めまいや免疫力の低下などの健康被害を引き起こし、寿命を縮める作用があります。
人間であれば、頭痛や不眠、パニック障害やうつ病といった症状を訴えることができますが、犬は言葉で私たちにそれを伝えることができません。
そして、愛犬が送るSOSのサインを、私たち飼い主は「問題行動」として受け取ります。
ストレスがもたらす問題
犬はストレスにさらされ続けることにより、心や体に変調をきたします。それが、飼い主側から見た「問題行動」です。
慢性的なストレスを抱える犬は、あらゆる刺激に敏感になります。その結果、吠え続ける、室内を荒らす、粗相をする、そして攻撃的になるという「問題行動」を起こしてしまうのです。
しかし、これは本当に問題行動でしょうか?それとも、ストレスによる慢性的な頭痛や疲労感を訴えるSOSでしょうか?
愛犬があなたに向かって吠え続けるとき、牙をむき出しにするとき、それは「頭が痛いよ」「助けてよ」と訴えているのかもしれません。
朝日を浴びること+リズム運動でセロトニンアップ
ストレス症状を緩和し、心と体の健康を維持するためには、「しあわせホルモン」の力を借りましょう。「セロトニン」は人間のうつ病や統合失調症の治療薬としても使われており、医学的な効果も実証済みです。
以下で、愛犬と一緒にセロトニンを効果的に生成するための、理想的なモーニングルーティーンを解説します。
心と体の健康をアップする理想的なモーニングルーティーン
基本的な方法は、「朝起きてから1時間以内に、15分から30分程度愛犬と散歩をすること」です。時間帯は遅くとも10時まで。
セロトニンは朝の光によって体内時計を調節する役割を持っているため、起きてから3時間以上経過してしまうと、体内時計が後ろにずれてしまいます。
メンタルに不調を抱えていなければ15分程度で分泌が始まりますが、精神的に弱っているなと感じたら、30分ほど散歩の時間をとりましょう。これは人間だけでなく、犬でも同じ。あなたの愛犬が最近神経質で、小さな音にも反応する傾向がある場合には、朝の散歩時間をしっかり確保して、セロトニンを活性化させましょう。
散歩はリズミカルにテンポ良く、できれば早足くらいのスピードで。
すがすがしい朝の光を浴びながら、ときには愛犬と目を合わせて歩きましょう。目を見つめて優しく声かけをしながら歩くことで、セロトニンだけでなく、愛情ホルモンと呼ばれる「オキシトシン」の分泌も促すことができます。
お留守番がある愛犬には特におすすめ
朝の散歩は、お留守番がある愛犬には特におすすめします。
朝散歩でセロトニンをたっぷり生成させた後に食事をとると、ちょうど良い疲労と満腹感が愛犬を心地よい眠りに導いてくれます。
留守番時間はそうしてしっかり休息をとり、あなたが帰宅する頃にはたっぷり充電を済ませた愛犬が出迎えてくれるでしょう。
規則正しい生活リズムに飼い主との十分なコミュニケーション。心と体の欲求が満たされた穏やかな愛犬との暮らしは、私たちの心にも大きな安らぎを与えてくれるでしょう。
まとめ
朝の光を浴びて、愛犬と散歩へ行きましょう。セロトニンによる幸福はどれだけお金を積んでも得ることができない、心と体の健康を与えてくれます。
私たちに仕事や人間関係のストレスがあるように、愛犬も人間の生活リズムに縛られ生物学的欲求を満たせないことでストレスを感じています。
辛い気持ちを言葉で伝えられない犬たちが人間に送るテレパシーは、ときに問題行動と名付けられ、さらに犬たちを追い詰めてしまいます。
愛犬は、辛いときに寄り添い、私たちを支えてくれる大切なパートナー。お互いの健康と幸せのため、まずは週に1日15分からでも始めてみませんか?