【第1回レッスン】しつけ=コミュニケーション ~愛犬と笑顔で暮らすために~

(2026年9月更新)罰を使わない現在のしつけの考え方、社会化期、飼い主の法的な責務とFAQを追記しました。
愛犬ってとにかくかわいくて、ただ見てるだけでも癒やされ幸せな気持ちになれる存在。
ただ、吠えたり家具を噛んだりと困った行動も。。。

そんな愛犬の「しつけ」に悩む飼い主さんのために、複数回にわたって「しつけ」についてお伝えしていきます。

目次

のっぽ(執筆者)紹介 ~しつけとの出会いと思い~

あらためまして「のっぽ」と申します。オンラインを中心に「愛犬のしつけ方」を飼い主さんにお伝えしています。

私が「しつけ」に興味を持ったのは、イギリスで開催されている世界最大のドックショー「Crufts」を見に行き、楽しそうに競技をする飼い主さんと愛犬たちを見たのがきっかけです。

なにより衝撃的だったのは、電車やお店の中でもワンちゃんが自由にしていて、しかも騒いだりする子がいないこと。愛犬とどこでも一緒に行けるのは飼い主さんの理想ですが「しつけ」ができてないと難しいですよね。
日本で実現するには飼い主さんの意識向上と愛犬のしつけが必要と思い、帰国後すぐに愛犬を迎え「D.I.N.G.O.家庭犬しつけ方インストラクター」を取得。ペット専門学校の非常勤講師を勤め、現在は少しでも多くの飼い主さんと愛犬が笑顔で暮らせるお手伝いができたらと思いフリーで活動しています。。

しつけ=コミュニケーション

私は「しつけ」という言葉は適していないと思っています。なぜなら飼い主さんが愛犬に教えるんだという誤解が生まれるからです。

まず、ワンちゃんは日本語が通じず話せるようにならないのを理解しましょう。「うちの子は日本語わかってる」という飼い主さんもいますが、正確には日本語を理解しているわけではなく、単語を記号としてとらえて学習しているだけです。例えば「オスワリ」を教える時、日本語を理解しているなら

「前足は伸ばしたままで、お尻だけ下げて地面につけた姿勢がオスワリだよ」

と言えばいいのですが、実際はそんな教え方はできません。それでは言葉の通じないワンちゃんに何かを教えるにはどうしたらいいでしょう?

例えば海外の人に教えるとしたら、その人の話す言語を覚えないと教えることはできません。人間なら続けていれば日本語を理解するようになるかもしれませんが、ワンちゃんは理解することはありません。

だから愛犬をしつける(教える)より先に飼い主さんが「犬語=コミュニケーション方法」を学ばないといけないのです。つまり「しつけ」ではなく愛犬とのコミュニケーション術と考えたほうがしっくりきます。飼い主さんが愛犬の心を理解し、自分の望みを伝えることができれば愛犬は応えてくれるようになります。

「しつけ」という言葉が適していないもうひとつの理由として「しつけ」という名の「虐待」も存在するからです。その境界線はとてもわかりずらく、人間の世界でも親が子供に対してやっていた虐待を「虐待ではなくしつけだ」と主張しているニュースを耳にしたこともあると思います。罪から逃れるための言い訳の場合もありますが「しつけ」と思っていきすぎた結果、自覚なく虐待をしてしまうこともあるのです。

そうならないためにも 「しつけ」ではなくコミュニケーション術と考えたほうが愛犬も飼い主さんも幸せになれます。 しかし読んでいる方にわかりやすいように記事では「しつけ方」と表現していきます。

ポイント

✅ しつけではなく「愛犬とのコミュニケーション術」
✅ 飼い主さんが犬語(コミュニケーション術)を覚えるのが先

しつけって必要?

「とても幸せで、不満はないからしつけはしなくても大丈夫」という飼い主さんは多いです。実際私もそう思っていました。しかし「しつけ方」を学び自分と愛犬の変化を感じ「しつけは必要」と思うに至った理由をお話していきます。

当たり前のことですが困った行動を治すにはしつけ方を覚える必要があります。愛犬とコミュニケーションが取れるようになれば飼い主さんの望みが伝わり改善されていきます。

多くの方は困ってからしつけを学ぼうとしますが、最大のメリットは治すことよりも困った行動になる以前に、しないように対応できることです。困ることも治すこともなくなるので、その分愛犬とたわむれ癒やされる時間が増えるので一石二鳥です♪

もちろん困った行動が出てからでも治すことはできますし、年齢も関係なくシニア犬でもちゃんと覚えてくれます。いつ覚えても問題ありませんが、できれば困ったことが起きる前にしつけ方を覚えることをおすすめいたします。

ポイント

✅ しつけ方を覚えれば「困った行動を治す」ことができる
✅ しつけ方を覚える最大のメリットは「困った行動になる以前に、しないように対応できる」こと

しつけの実用例とデモ動画

ほとんどの飼い主さんはオスワリ・フセを教えたことがあるはず。トリミングの会計時や立ち話中にフセて良い子にしていてくれたら楽ですよね。それだけではなく、いざという時に愛犬の命を守るためにも必要です。

🔶 お散歩で車や人とすれ違う時、横に付いてオスワリ
🔶 リードを離して逃げてしまった時にオイデで呼び戻す、マテで止める。
🔶 口に咥えてる物を放してもらう(誤飲の事故防止)

こういう時に合図ひとつで愛犬を守ってあげたいですよね。それがしつけ方をお伝えしている理由のひとつです。

次は私の愛犬のデモ動画で解説します。
いくつかトリック(芸)をしてもらった動画ですが、最後のネンネ(寝転がる)だけフセしてしまったので「ちがう(それは合図と違う)」と言って寝転がってもらいました。 しつけ方 を覚えるといろいろな合図を理解してもらうことができます。

さらに「レトリーブ」のような、より複雑な行動を教えることもできます。

実は失敗しそうになっていて、くわえて戻る時に人や他犬がいる方へ行きそうになったのを「オイデ」と言って呼び戻しています。このように失敗をさせない、困る前に飼い主さんが対応することがとても大事なんです。
レトリーブに比べれば、望むこと望まないことを愛犬に伝えることは簡単にできるようになります。

ポイント

✅ トリック(芸)は日常生活で便利なだけではなく、いざという時に愛犬の命を守ることもできる

【2026年版】いまのしつけの常識は「罰を使わない」が基本

この記事を最初に公開したときと比べても、日本の「しつけ」をめぐる考え方はさらに変わってきました。獣医行動学の分野では、叩く・大声で威嚇する・首を押さえつける・チョークチェーンで強く引くといった「罰(嫌悪刺激)」を主体にした方法は推奨されていません。米国獣医行動学会(AVSAB)は早くから、罰に基づくトレーニングが攻撃性・不安・恐怖を増やす可能性があると指摘しており、この見方は現在も国内外の専門家の共通認識になっています。

罰がうまくいかない理由はシンプルです。罰は「やってほしくないこと」を一時的に止められても、「代わりに何をすればいいのか」を愛犬に教えられないから。さらに、罰を与えた飼い主さん自身が「こわい存在」として学習されてしまい、呼んでも来ない・触らせてくれないといった別の困りごとにつながることもあります。

いま主流なのは、望ましい行動が出た瞬間にごほうび(おやつ・声かけ・遊び)で伝える「正の強化」と、そもそも困った行動が起きない環境をつくることの組み合わせです。これは本文でお伝えしている「しつけ=コミュニケーション」「困る前に対応する」という考え方と、まったく同じ方向を向いています。

ポイント

✅ 罰は「やめさせる」ことはできても「何をすればいいか」は教えられない
✅ 正の強化(ごほうび)+失敗させない環境づくりが基本
✅ うまくいかないときは強さを上げるのではなく、難易度を下げる

「しつけ」は飼い主さんの責任でもある|法律の面から

記事本文で「しつけという名の虐待」について触れましたが、これは気持ちの問題だけではなく、法律にも関わる話です。動物愛護管理法では、飼い主には動物が健康で快適に暮らせるようにし、近隣に迷惑をかけないようにする責務があると定められています。令和2年(2020年)6月1日からは、環境大臣が定める「動物の飼養及び保管に関しよるべき基準」を飼い主が守るべきことが明確化されました。

また、愛護動物への虐待や遺棄には罰則が定められており、殺傷した場合は5年以下の拘禁刑(改正前は懲役)または500万円以下の罰金、虐待・遺棄は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金とされています。「しつけのつもり」がいきすぎれば、法律上の虐待になり得ます。

飼い主の責務や最新の制度については、環境省の飼い主の方やこれからペットを飼う方へのページで確認できます。あわせて、2022年6月からは販売される犬猫へのマイクロチップ装着と情報登録が義務化され、飼い主が変わった際は30日以内の変更登録が必要になっています。

しつけはいつから始める?「社会化期」を逃さないのがいちばんの近道

「まだ小さいから、もう少し大きくなってから」と考える飼い主さんは多いのですが、子犬にはいろいろなものを受け入れやすい「社会化期」(おおよそ生後3週~12~14週ごろ)があります。この時期に、人・他の犬・生活音・車・傘・自転車・抱っこ・体を触られることなどに、こわがらせずに少しずつ慣らしておくと、その後の困った行動がぐんと減ります。

日本では2021年6月から、生後56日(8週)を超えない子犬・子猫の販売が原則禁止されています(いわゆる8週齢規制)。お迎えのタイミングはおおむね生後2か月以降になるため、家に来た日から社会化期の残り時間はあまり長くありません。ワクチンプログラムの途中で地面を歩かせられない時期でも、抱っこでの外気浴やキャリーでのお出かけ、来客に少しずつ会ってもらうなど、できることはたくさんあります。パピークラスの活用もおすすめです。

もちろん、本文でもお伝えしたとおり成犬やシニア犬でも学習はできます。社会化期を過ぎていても遅すぎることはありません。ただし「こわい」という経験が積み重なっている場合は時間がかかるので、無理に慣らそうとせず、距離や音量を下げた小さなステップから始めてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 犬のしつけはいつから始めればいいですか?

A. 家に迎えたその日からです。特に生後3週~12~14週ごろの社会化期は、人や音、生活環境に慣らす絶好の時期。ワクチンが済んでいない時期でも、抱っこでの外気浴やキャリーでのお出かけなど、安全な形でできることから始めましょう。

Q. 叱ってしつけるのはダメなのですか?

A. 叩く・大声で威嚇するといった罰は、恐怖や攻撃性を増やすリスクがあるため推奨されません。やめてほしい行動は叱るより「起きない環境をつくる」、そして望ましい行動をごほうびで伝えるのが基本です。

Q. 成犬やシニア犬になってからでも間に合いますか?

A. 間に合います。犬は年齢に関係なく学習できます。ただし積み重なった経験を上書きするには時間がかかるため、ハードルを下げた小さなステップで進めてください。

Q. おやつがないと言うことを聞かなくなりませんか?

A. 最初は毎回おやつで伝え、できるようになったら回数を減らしたり、声かけ・なでる・遊びなど別のごほうびに置きかえていきます。ごほうびは「賄賂」ではなく「正解を伝えるサイン」と考えるとうまくいきます。

Q. うまくいかないときはどうすればいいですか?

A. 罰を強めるのではなく、難易度を下げる(距離・時間・刺激の量を減らす)のが鉄則です。噛みつきや強い不安など、家庭での対応が難しい行動は、獣医師や動物行動学にくわしい専門家に早めに相談しましょう。

次のレッスン・関連記事

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。噛みつきや強い不安など、愛犬の行動でお困りの場合は獣医師や動物行動学にくわしい専門家にご相談ください。法令・制度に関する記載は2026年9月時点の情報です。

今回は「しつけ=コミュニケーション」と「必要性」についてお伝えしましたが、今後3つのカテゴリでお伝えしていく予定です。

【しつけ方】
しつけに関する考え方や理論的な内容をわかりやすくお伝えします。
例) ワンちゃんの学習の仕方、教え方、合図のつけ方、問題行動についてなど

【 対応方法 】
よくあるお困りごとの対応・改善方法
例) トイレトレーニング・吠えの対応・お散歩の引っ張りなど

【 愛犬あるある 】
愛犬の行動、飼い主さんの対応あるあるを「しつけ」の観点から解説

飼い主さんと愛犬どちらにストレスがあっても良い関係、環境は作れません。しつけ方を知ることで愛犬と飼い主さんが心を通わせ、ともに笑顔で幸せに過ごすことができるお力になれればと思います。

【笑犬】のっぽ さんの詳しいプロフィールはこちらです♪

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次