犬が秋に体を掻く原因|アレルギーと乾燥の見分け方【部位別チャート】

秋に体を掻くゴールデンレトリバー

秋のかゆみは「どこを掻くか」でほぼ絞れます。足先・耳・口まわり・わきならアレルギー、腰から尾の付け根ならノミ、背中全体にフケが出るなら乾燥です。9月のかゆみを乾燥と決めつけるのは誤りです。

「夏が終わって涼しくなったのに、かゆがり方がひどくなった」。秋の皮膚相談で最も多い訴えがこれです。

原因は大きく「秋のアレルゲン」「乾燥」「ノミ・ダニの後期発生」の3つ。やるべき対処がそれぞれ違います。

この記事では、気象庁の平年値とFavrotの診断基準(2010年)を使い、家庭で「部位・時間帯・フケの有無」の3点から原因を絞り込む方法を解説します。

秋に体を掻くゴールデンレトリバー
目次

結論:掻く「部位」で原因はほぼ絞れる

かゆみの原因は、病変が出ている場所にかなり強く現れます。

まず愛犬がどこを気にしているかを特定してください。下の表で当てはまる行を探します。

掻く・舐める部位最も疑わしい原因一緒に出るサイン家でやること
足先(指の間)・耳・口まわり・わき・内股アトピー性皮膚炎/環境アレルゲン赤み、舐めて毛が赤茶色に変色、外耳炎の再発散歩後に体を拭く・受診して薬の相談
腰・尾の付け根・後ろ足の付け根ノミアレルギー性皮膚炎黒いゴマ状のフン、大きめの発疹、激しいかゆみ予防薬の最終投与日を確認・寝床を洗う
背中・体の側面(広い範囲)+フケ乾燥(皮膚バリアの低下)白い粉状のフケ、毛をかき分けると粉が舞う、静電気室内湿度を40〜60%に・洗う回数を減らす
お腹・胸・内股に赤いポツポツ膿皮症(細菌感染)中心に膿を持つ発疹、治りかけがドーナツ状にカサつく広がりやすいので早めに受診
わき・内股・首のしわがベタつくマラセチア皮膚炎独特の発酵臭、黄色いワックス状の付着物、黒ずみ乾かし方の見直し・受診
耳の先・ひじ・ひざ・お腹(かゆみが異常に強い)疥癬(ヒゼンダニ)眠れないほどのかゆみ、かさぶた、人にもうつるすぐ受診(自宅ケアでは治らない)
左右対称に毛が薄い(かゆみは弱い)ホルモン性疾患の可能性尾の脱毛、皮膚の黒ずみ、太りやすい、寒がる血液検査が必要なので受診

注目すべき違いは「かゆみが強いのに毛が薄い場所がある」のか「かゆみが弱いのに毛が薄い」のかです。

かゆみが弱いのに左右対称に毛が薄くなる場合、皮膚の病気ではなくホルモンの病気が土台にあることがあります。

この場合、保湿やシャンプーを頑張っても改善しません。血液検査が必要です。

「秋のかゆみ=乾燥」は半分間違い|気象庁データで見る秋の湿度

秋のかゆみを一律に「空気が乾いてきたから」と説明する記事が多くあります。

しかし数字を見ると、それは9月には当てはまりません。

気象庁の平年値(東京、統計期間1991〜2020年)から、湿度に関する2つの指標を並べます。

月相対湿度の平均水蒸気圧(空気中の水分の絶対量)平均気温
7月76%25.1 hPa25.7℃
8月74%26.2 hPa26.9℃
9月75%21.5 hPa23.3℃
10月71%14.7 hPa18.0℃
11月64%9.6 hPa12.5℃
12月56%5.9 hPa7.7℃
1月51%4.5 hPa5.4℃

ここから2つの事実が読み取れます。

事実1:9月の相対湿度75%は、梅雨の6月(75%)と同じ水準です。

9月は乾燥していません。つまり9月にかゆみが増えたなら、原因は乾燥ではなくアレルゲンかノミです。

9月は降水量も224.9mmで年間2位。空気はまだ湿っており、むしろ皮膚が蒸れる条件が残っています。

事実2:相対湿度だけ見ていると、乾燥の進行を見落とします。

9月から11月で相対湿度は75%→64%と11ポイントしか下がりません。「まだ60%台だから乾燥は関係ない」と判断しがちです。

ところが空気中の水分の絶対量(水蒸気圧)は21.5hPa→9.6hPaへ、約55%も減っています。11月の空気が含む水分は9月の半分以下です。

そして暖房を入れると、この少ない水分のまま室温だけが上がります。相対湿度は一気に30%台まで落ちます。

つまり乾燥が本格的に効いてくるのは10月後半から11月、暖房を使い始めた時点です。

時期主な原因優先する対処
9月〜10月前半秋の雑草花粉、夏に増えたチリダニ、ノミ散歩後の拭き取り、寝具の洗濯、予防薬の継続
10月後半〜11月乾燥が加わる(アレルゲンも残る)加湿、洗う回数を減らす、保湿剤
12月以降乾燥が主役(暖房で加速)室内湿度40〜60%の維持、保湿の習慣化

この「月で切る」視点があると、9月に保湿剤を買い込んで空振りする、という失敗を避けられます。

秋に増える3つの原因

秋の雑草が茂る場所を歩く犬

原因1:秋の雑草の花粉(8〜10月)

環境省の「花粉症環境保健マニュアル」(2022年3月改訂版)によると、ブタクサとヨモギの花期は8〜10月ごろです。

同マニュアルでは、カモガヤやオオアワガエリなどのイネ科花粉は春から初秋まで長く飛散するとされています。

スギ花粉と秋の雑草花粉には、犬にとって決定的な違いがあります。

スギは高い木から広域に飛びますが、雑草は犬の鼻と体の高さに生えているのです。

人が気づかない空き地や歩道の縁、公園の植え込みの足元。そこを犬は毎日くぐっています。

だから秋の雑草花粉では、吸い込むより体に付着して皮膚から入ることが問題になります。

対策が「薬を飲む」より先に「拭く・通らない」になる理由がこれです。

自宅の庭に雑草が茂っている場合、散歩を避けても庭で曝露します。草むしりが対策になります。

原因2:夏に増えたチリダニの死骸

コナヒョウヒダニなどのチリダニは、高温多湿の梅雨から夏に大量に繁殖します。

秋になって気温が下がると、増えた個体が一斉に死にます。

問題はここからです。アレルゲンとして強く働くのは、生きたダニより死骸とフンの破片です。

これが乾いて細かくなり、室内に舞います。

「夏より秋のほうがかゆい」という矛盾した訴えの多くは、これで説明できます。

狙うべき場所は限られています。犬が鼻と体を直接つける布製品です。

  • 犬用ベッド・毛布(週1回の洗濯)
  • ソファのクッションカバー
  • カーペット・ラグ(掃除機は週2回以上、ゆっくり動かす)
  • 犬がよく寝る場所の床の隙間

洗えないソファや床は、拭き掃除が有効です。乾いたモップは舞い上げるだけで終わります。

原因3:ノミ・マダニは秋に止めてはいけない

「涼しくなったからノミ予防は終わり」。これが秋のかゆみで最も多い取りこぼしです。

ノミは気温13℃以上であれば季節を問わず活動します。繁殖に適した温度は24〜27℃で、この条件では卵から成虫まで最短約2週間です。

東京の11月の平均気温は12.5℃ですが、これは屋外の24時間平均です。日中の最高気温は16.7℃あります。

さらに室内は暖房で20℃前後に保たれます。つまり室内はノミにとって一年中繁殖可能な環境です。

ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミの唾液に対するアレルギーです。

重要なのは、数匹でも激しいかゆみが出ること。「ノミを見ていないから違う」という判断は成立しません。

腰から尾の付け根を集中的に掻くなら、まず予防薬の最終投与日をカレンダーで確認してください。

投薬の時期や薬の種類は犬のフィラリア・ノミ・マダニ予防にまとめています。マダニが付いていた場合の取り方は犬のマダニの取り方を参照してください。

アレルギーか乾燥かを見分ける3つのチェック

飼い主が犬の皮膚をチェックしている様子

部位だけで迷う場合は、次の3点を見ます。

チェック項目アレルギーが疑われる乾燥が疑われる
①部位足先・指の間・耳・口まわり・わき・内股に集中背中や体の側面など広い範囲、特定の場所に偏らない
②時間帯・場面散歩から帰った直後、特定の場所に行った日夜の就寝前、暖房をつけている時間帯
③フケと皮膚の見た目赤み・ベタつき・舐めた毛の赤茶変色。フケは少ない白い粉状のフケ。赤みは弱く、皮膚はカサつく
④毛をかき分けた感触皮膚が熱っぽい、湿っている、においがある粉が舞う、静電気でパチパチする
⑤経過毎年同じ季節に繰り返す今年の秋から急に目立ってきた

3項目以上が同じ列に並べば、そちらが有力です。

両方の列が混在することもよくあります。その場合は「アレルギーの土台に乾燥が重なっている」と考えてください。

アトピー性皮膚炎の国際的な診断基準(Favrot 2010)

犬アトピー性皮膚炎には、国際的に使われている臨床徴候の基準があります。

Favrotらが2010年に報告した8項目の基準(Vet Dermatol. 21: 23-31, 2010)です。

  1. 発症年齢が3歳以下
  2. 飼育環境の多くが室内
  3. ステロイド(グルココルチコイド)に反応するかゆみ
  4. 慢性・再発性のマラセチア感染症
  5. 前肢に病変がある
  6. 耳介に病変がある
  7. 耳介の辺縁には病変がない
  8. 体幹の背側には病変がない

慢性・再発性のかゆみがある犬で、8項目のうち5項目を満たすと感度85.4%・特異度79.1%。

6項目なら特異度は88.5%に上がりますが、感度は58.2%に下がります。

この基準で飼い主が自己診断するのは不可能です。項目3はステロイドを使ってみないと判定できません。

ただし受診前に情報を整える物差しとして非常に有用です。特に次の2点は、飼い主にしか分かりません。

  • 何歳のときに初めてかゆがり始めたか(項目1)
  • 耳の縁を掻くのか、耳の中を掻くのか(項目6・7)

耳の「縁」に病変があると、むしろ疥癬などを疑う根拠になります。耳の「中」や付け根ならアトピー寄りです。

同じ「耳を掻く」でも意味が逆になるので、受診時はここを具体的に伝えてください。

なお、この基準は他の病気を除外してから使うものとされています。除外すべき代表はノミ・疥癬・毛包虫といった寄生虫、マラセチア、皮膚糸状菌症です。

食物アレルギーとアトピー性皮膚炎は見た目で区別しにくいですが、食物アレルギーは口吻部(口まわり)と肛門周囲に出やすい傾向があるとされています(Hensel et al., BMC Vet Res. 2015)。

受診時に伝える5つの情報

かゆみは診察室では出ないことがあります。情報が診断を左右します。

  1. いつからかゆがり始めたか(年齢と今年の開始時期)
  2. 最初にどこを掻き始め、今はどこが一番ひどいか
  3. ノミ・マダニ予防薬の商品名と最終投与日
  4. 現在のフードの商品名と、最近変えたかどうか
  5. 使っているシャンプー・保湿剤の名前と頻度

加えて、かゆがっている様子を動画で30秒撮るのがおすすめです。

掻き方の強さや部位は、口で説明するより動画のほうが正確に伝わります。

やってはいけない対処6つ

やってはいけないこと理由代わりにすること
人間用の保湿クリーム・ボディローションを塗る香料・尿素・アルコールが刺激になる。犬は必ず舐める犬用の保湿剤、または動物病院で処方されたもの
かゆい場所を毎日シャンプーする皮脂を落としすぎてバリアが壊れ、かゆみが増す頻度は下の表を参照。洗うのは週2回まで
熱いお湯で洗う・ドライヤーを近づける皮膚の血流が増えてかゆみが強くなるぬるめの湯(34〜36℃程度)、ドライヤーは低温で離す
人間用の抗ヒスタミン薬を飲ませる用量が全く違い、成分によっては中毒を起こす市販薬は使わず受診する
冷却スプレーや保冷剤を直接当てる一時的に紛れるだけ。凍傷のリスクもある原因の特定を優先する
エリザベスカラーだけで数週間様子を見る掻けなくなっても原因は進行する。感染が広がる掻き壊し防止の間に受診の予約を取る

特に注意したいのが1つ目です。「保湿すればいい」と人間用のクリームを塗るケースは多いです。

犬は塗られた場所を舐めます。舐めれば成分が消化管に入り、舐める刺激自体でも皮膚が荒れます。

肉球へのワセリンのように比較的安全とされるものもありますが、全身用とは条件が違います。詳しくは犬の肉球にワセリンは安全?を参照してください。

家でできること|洗う回数と「乾かしきる」が本題

シャンプー後にタオルで乾かされる犬

シャンプー頻度の目安

ここがアレルギーと乾燥で最も分かれるポイントです。

アレルギーでは、皮膚に付いたアレルゲンを落とすため洗う意味があります。乾燥では、洗うほど悪化します。

状態頻度の目安洗浄力必ずやること
アレルギー疑い(赤み・ベタつき)週1〜2回低刺激の薬用または獣医師処方5〜10分の泡放置、ぬるま湯で完全にすすぐ
乾燥疑い(フケ・カサつき)2〜4週に1回保湿成分入りの低刺激タイプ洗った当日に保湿剤を塗る
判断がつかない2週に1回低刺激タイプ散歩後の拭き取りで補う
膿皮症・マラセチアを治療中獣医師の指示に従う処方シャンプー指示された放置時間を守る

洗い方のコツは3つです。

  • シャンプーはあらかじめ泡立ててからのせる(原液を皮膚にかけない)
  • ゴシゴシこすらず、指の腹で押すように動かす
  • すすぎ残しがかゆみの原因になるため、すすぎは洗う時間の2倍かける

皮膚タイプごとのシャンプーの選び方は犬のシャンプーおすすめの選び方で詳しく解説しています。

洗った後に「乾かしきる」ことがかゆみを左右する

保湿よりも先に見直すべきは、乾かし方です。

理由は単純で、湿ったまま放置された場所でマラセチアと細菌が増えるからです。

マラセチアは皮膚の常在菌(酵母)ですが、皮膚の抵抗力が落ちた場所で一気に増えると強いかゆみを起こします。

乾きにくい部位は決まっています。

  • 指の間(最も残る。指を1本ずつ開いてタオルを3〜5秒押し当てる)
  • わき・内股・しっぽの付け根
  • 耳の付け根と首のしわ
  • 下腹部(長毛種は特に残る)

合格ラインは明確です。乾かし終えた直後に指の間を触って、指先が湿らないこと。

これができていれば、秋の指間炎とマラセチアの大半は防げます。

膿皮症とマラセチアの症状・治療の詳細は犬の梅雨の皮膚トラブル、足を舐め続ける場合は犬の指間炎を参照してください。

耳を繰り返し掻く場合は外耳炎が隠れていることがあります。犬の外耳炎、シャンプー後の耳のケアは犬の耳に水が入ったらで解説しています。

手順の詳細は犬の足拭きの正しい手順5ステップ、吸水性の高いタオルの選び方は犬用タオルの選び方にまとめています。

ドライヤーを嫌がる場合の慣らし方は犬のドライヤーの乾かし方を参照してください。

散歩後の拭き取りは「濡れタオル」が基本

秋の花粉・雑草対策として、最も費用対効果が高いのが散歩後の拭き取りです。

乾いたタオルでは、付着した花粉を毛の奥に押し込むだけになります。

軽く湿らせたタオルで、背中・お腹・足先・顔まわりを順に拭いてください。

そして最後に必ず乾いたタオルで締める。これを省くと、湿らせた意味がなくなります。

アルコール入りの除菌シートは使わないでください。皮膚が荒れ、舐めると消化器症状が出ることがあります。

室内湿度は40〜60%を目安に

乾燥対策の数値目標は、相対湿度40〜60%です。

この範囲には理由があります。

  • 40%未満:皮膚の水分が失われ、フケと静電気が増える
  • 60%超:チリダニが繁殖しやすくなり、アレルゲンが増える

つまり加湿しすぎはアレルギーを悪化させます。「乾燥対策だから湿度は高いほどよい」は誤りです。

フケそのものの原因と見分け方は犬のフケが多い原因と対策、保湿ケアの具体的な手順は犬の乾燥肌と正しい保湿ケアにまとめています。

湿度計は、人の目線ではなく犬が寝ている床の高さに置いてください。暖かい空気は上に行くため、床付近は数値が違います。

静電気がひどい場合の対策は犬の静電気対策も参考になります。

受診の目安

緊急度サイン
時間外でもすぐ受診眠れないほど掻き続ける/掻き壊して出血が止まらない/皮膚が広範囲に赤く腫れて熱を持つ/顔やまぶたが急に腫れた/ぐったりして食欲がない
当日中に受診同じ場所を1日に何度も集中して掻く/脱毛している/膿やジュクジュクした部分がある/急に広い範囲で毛が抜けた/強い悪臭がする
数日以内に受診かゆみが1週間以上続く/毎年同じ季節に繰り返している/フケが増えて皮膚が黒ずんできた/外耳炎を繰り返している/左右対称に毛が薄い
経過を見てよい1日に数回軽く掻く程度で、赤み・脱毛・フケがなく、普段と変わらない

判断の分かれ目は「脱毛・出血・左右対称の毛の薄さ」の3つです。

このいずれかがあれば、自宅ケアの段階は過ぎています。

かゆみが異常に強く、かつ家族の人間も腕やお腹をかゆがり始めた場合は、疥癬を疑って早めに受診してください。疥癬は人にも感染します。

皮膚の病気の種類と見分け方の全体像は犬の皮膚病、アレルギーの種類と治療は犬のアレルギーで解説しています。

秋から冬に向けた予防|12月までにやること

時期やること
10月ノミ・マダニ予防を継続(止めない)/犬用ベッドと毛布を洗う/散歩後の拭き取りを習慣化
10月後半湿度計を床の高さに設置/暖房を使い始めたら湿度を確認
11月シャンプー頻度を見直す(乾燥寄りなら回数を減らす)/保湿剤の導入を検討
12月湿度40〜60%の維持/寝床を暖房の吹き出し口から離す
通年かゆみの記録をつける(日付・部位・強さの3点)

最後の「記録」が、翌年以降の最大の武器になります。

血液のアレルギー検査は手軽に実施できますが、結果は必ずしも症状と一致しません。

実際には、季節ごとのかゆみの変化から原因アレルゲンを推測する手順が重要になります。

記録のつけ方はシンプルで構いません。カレンダーに3つ書くだけです。

  • 日付と、その日に行った場所(草むら・ドッグランなど)
  • 部位(足・耳・背中・腰のどれか)
  • 強さを3段階で(1=軽く掻く/2=何度も掻く/3=掻き続ける)

これが2〜3シーズン分たまると、「秋だけ」なのか「秋に増す」のかが見えます。

秋だけかゆむなら秋の雑草花粉、一年中かゆくて秋に増すならチリダニが疑わしくなります。

この情報は血液検査より診断に役立つことがあります。

かゆみが出やすい犬種

アトピー性皮膚炎は遺伝的な素因が関わるため、犬種による差があります。

かゆみが起こりやすい犬種として、柴犬、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、チワワ、トイプードル、シーズー、ゴールデンレトリバー、フレンチブルドッグなどが挙げられます。

これらの犬種では、秋に少し掻く程度でも早めに記録を始める価値があります。

犬種別の皮膚の注意点は柴犬の性格・特徴・飼い方、シーズーの性格・特徴・飼い方、フレンチブルドッグの飼い方でも触れています。

よくある質問

Q1. 9月からかゆがり始めました。乾燥が原因でしょうか?

9月の乾燥が原因である可能性は低いです。

気象庁の平年値(東京、1991〜2020年)では9月の平均相対湿度は75%で、梅雨の6月と同じ水準です。降水量も224.9mmで年間2位です。

9月に増えたかゆみは、秋の雑草花粉(ブタクサ・ヨモギは8〜10月が花期)、夏に増えたチリダニの死骸、またはノミを先に疑ってください。

乾燥が本格的に効くのは、水蒸気圧が9月の半分以下になる11月以降です。

Q2. ノミは見当たりません。それでもノミが原因のことはありますか?

あります。ノミアレルギー性皮膚炎は唾液に対するアレルギーなので、数匹でも激しいかゆみが出ます。

腰から尾の付け根を集中的に掻く場合は特に疑ってください。

確認方法は、毛をかき分けて黒いゴマ粒状のフンを探すことです。濡れた白い紙にのせて赤茶色ににじめばノミのフンです(血が成分だからです)。

ノミは気温13℃以上なら活動し、暖房の入った室内は一年中繁殖可能な環境です。秋に予防薬を止めないでください。

Q3. 人間用の保湿クリームを塗ってもいいですか?

使わないでください。

理由は2つあります。1つは香料・尿素・アルコールなどが犬の皮膚には刺激が強いこと。もう1つは犬が必ず舐めることです。

舐めれば成分が体内に入り、舐める行為そのものが皮膚を荒らします。犬用の保湿剤か、動物病院で処方されたものを使ってください。

Q4. かゆいときはシャンプーを増やすべきですか、減らすべきですか?

原因によって逆になります。

アレルギーが疑われる場合(足先・耳・口まわり・赤み・ベタつき)は、付着したアレルゲンを落とすため週1〜2回まで増やす意味があります。

乾燥が疑われる場合(背中のフケ・カサつき)は、2〜4週に1回まで減らしてください。洗うほど皮脂が落ちて悪化します。

どちらの場合も、洗った後に乾かしきることが前提です。

Q5. 室内の湿度は高いほどよいのでしょうか?

いいえ。40〜60%が目安で、上げすぎは逆効果です。

60%を超えるとチリダニが繁殖しやすくなり、アレルゲンが増えます。40%未満だとフケと静電気が増えます。

湿度計は犬が寝ている床の高さに置いてください。暖かい空気は上にたまるため、人の目線と床では数値が異なります。

Q6. 市販のかゆみ止めスプレーで様子を見てもいいですか?

原因が分からないうちは、長く様子を見ないでください。

市販品でかゆみが一時的に紛れても、膿皮症や疥癬、ホルモン性疾患は進行します。

目安は1週間です。1週間以上かゆみが続く、または脱毛・出血・悪臭のいずれかが出た時点で受診してください。

Q7. アレルギー検査を受ければ原因が分かりますか?

一部は分かりますが、検査結果だけで原因は確定できません。

血液検査で抗体が出ても症状と一致しないことがあり、逆に陰性でも症状が出ることがあります。

そのため、季節ごとのかゆみの変化という「経過の情報」が診断に不可欠です。日付・部位・強さの3点を記録してください。

まとめ

  • 秋のかゆみは掻く部位でほぼ絞れる。足先・耳・口まわりはアレルギー、腰〜尾の付け根はノミ、背中全体のフケは乾燥
  • 9月の相対湿度は75%で梅雨と同水準。9月のかゆみを乾燥と決めつけてはいけない
  • 乾燥が効くのは水蒸気圧が9月の半分以下になる11月以降。暖房開始が引き金になる
  • 秋の3大原因は雑草花粉(8〜10月)・チリダニの死骸・ノミ。ノミは13℃以上で活動し、室内では一年中
  • 見分けるチェックは部位・時間帯・フケの有無の3点。3項目以上そろった側が有力
  • シャンプー頻度はアレルギーなら週1〜2回、乾燥なら2〜4週に1回。対処が逆になる
  • どちらでも共通の要は乾かしきること。合格ラインは指の間を触って指先が湿らないこと
  • 室内湿度は40〜60%。上げすぎるとチリダニが増える
  • 脱毛・出血・左右対称の毛の薄さのいずれかがあれば自宅ケアの段階ではない
  • 日付・部位・強さの3点を記録すると、翌年の診断精度が上がる

秋は「かゆみの原因が入れ替わる季節」です。9月と11月で、やるべきことが変わります。

なお、かゆみと同時に元気や食欲が落ちている場合は皮膚以外の要因も重なっています。犬の秋バテ、換毛期の抜け毛との区別は犬の抜け毛についても併せて確認してください。

今日できる最初の一歩は、愛犬がどこを掻いているかをメモすることです。それが診断の出発点になります。

参考にした情報源

  • 気象庁「平年値(年・月ごとの値)東京」統計期間1991〜2020年(相対湿度・水蒸気圧・気温・降水量)
  • 環境省「花粉症環境保健マニュアル 2022」(2022年3月改訂版)
  • Favrot C, Steffan J, Seewald W, et al. A prospective study on the clinical features of chronic canine atopic dermatitis and its diagnosis. Vet Dermatol. 21: 23-31, 2010.
  • Hensel P, Santoro D, Favrot C, et al. Canine atopic dermatitis: detailed guidelines for diagnosis and allergen identification. BMC Vet Res. 11: 196-209, 2015.

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、獣医師による診断・治療の代替となるものではありません。愛犬の体調に異変を感じた場合は、速やかにかかりつけの獣医師にご相談ください。

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